法事法要
花祭りの甘茶にはどんな意味がある?花祭りの作法と合わせて紹介
更新日:2022.11.17 公開日:2022.02.11
仏教は日本国内において最も普及している宗教として知られており、故人やご先祖様を供養するさまざまな行事があります。
ですが、その仏教行事の1つである花祭りと花祭りの甘茶はご存じの方は少ないと思います。
そこでこの記事では、花祭り・花祭りの甘茶について解説していきます。
この記事を読むことで花祭りの作法や甘茶の作り方がわかります。
後半では、宗派によって花祭りは変わるかについても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。
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花祭りとは
花祭りは一体どのようなものなのでしょうか。
ここでは、花祭りの目的となぜ花祭りと呼ばれるのかを中心に解説します。
花祭りの目的
花祭りは、もともと「灌仏会(かんぶつえ)」と呼ばれる、お釈迦様の生誕をお祝いする行事を指します。
花祭りは「灌仏会(かんぶつえ)」以外にも、「仏生会(ぶっしょうえ)」「降誕会(ごうたんえ)」と呼ばれることもあります。
お釈迦様の誕生に関しては諸説あります。
インド仏教の四大聖地であるルンビニー(現在のネパール連邦民主共和国)で紀元前463年の4月8日に生まれたと一般的にはいわれています。
しかし、それを裏付ける証拠はなく、いまだに数多くの説が存在しています。
花祭りでは「花御堂(はなみどう)」と呼ばれる小さなお堂の中央に「誕生仏」が祀られます。
誕生仏とは、お釈迦様が生まれたときの姿をかたどった立像のことです。
そして、この誕生仏に、ひしゃくを使い甘茶をかけ、お釈迦様の誕生日を祝います。
開催日は旧暦の4月8日や5月8日など、地域や寺院によって異なりますので参加する前に確認しましょう。
なぜ花祭りと呼ばれるのか
花祭りと呼ばれるようになったことにも諸説あります。
お釈迦様が、ルンビニーの花園で生まれたからという説や、4月8日頃は桜が満開になる時期のため、僧侶が花祭りと提唱したことが広まったという説などがあります。
花祭りでは、椿や桜、レンギョウなど色とりどりの美しい花で小さなお堂を飾り、中央に誕生仏を安置します。
花祭りで甘茶が使われる理由
甘茶とは、どのようなお茶で、何故花祭りで使われるのでしょうか。
ここではそもそも甘茶とは何かと甘茶が使われる理由について解説します。
甘茶とは
花祭りで飲まれる甘茶とは、ヤマアジサイの変種の小甘茶(こあまちゃ)の葉を煎じて作られています。
小甘茶は、ユキノシタ科アジサイ属の落葉低木で、本州の関東地方から中部地方にかけて分布、栽培されています。
一般に流通している甘茶の茶葉は栽培品のみで、主に長野県で栽培されています。
なお、名前の似た植物の「アマチャヅル」はウリ科の植物で、甘茶とは別の植物です。
小甘茶の生葉は苦くて、甘みはありません。
葉を採取して水洗いした後、約2日間日干しにし1日発酵させた後、手で葉をよく揉んで、さらに乾燥させて仕上げます。
このようにして調製すると、甘茶の葉は甘味を生じ、砂糖の100〜1,000倍程の甘さになります。
砂糖が普及する以前は、甘味料として使用されたり、漢方薬の苦み消しや民間療法での薬剤として使用されていました。
甘茶である理由
花祭りで甘茶が使用される理由は、お釈迦様が産まれたとき、天から9頭の竜が現れて、甘水を降らせ、お釈迦様の産湯に使ったという伝説を模したと言われています。
甘茶については、以下のような中国の言い伝えや、インドの伝説があります。
- 中国の言い伝え「上に立つものが善政を敷くと平和な世界が訪れ、甘い露が降る。」
- インドの伝説「甘茶は神様の飲み物であり、飲むと不老不死になれる。」
このように幸せをもたらす縁起物として、花祭りでは甘茶を使用し、お釈迦様への信仰を表しています。
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花祭りの作法
仏教行事では礼儀や作法が重んじられますが、一般的に花祭りにおいて厳格な作法はありません。
ここでは、花祭りの流れや稚児行列について解説します。
花祭りの流れ
花祭りの内容は、地域や寺院によって異なります。
花祭りを迎える前の作法は、一般の参拝手順と同様なので、通常通りの参拝手順を踏んで参加すれば問題ありません。
基本の参拝手順です。
- 寺院の山門前で一礼し、山門をくぐり寺院に入ります。
- 参拝者が身を清めるための手水舎(ちょうずや・ちょうずしゃ・てみずや・てみずしゃ)で手と口を清めます。
- 梵鐘(ぼんしょう)をついて鳴らします。
- 参拝して、線香を供え一礼します。
- 賽銭を入れて胸の前で合掌し、再度一礼します。
お寺でのお参りは、神社と異なり合掌が基本ですから、拍手を打たないよう注意しましょう。
参拝した後は、花御堂に安置された誕生仏に甘茶を注ぎ、心身を清めます。
稚児行列とは
稚児行列とは、平安装束モチーフの鮮やかな衣装を着た子供達が行列を作り、街を練り歩く伝統行事です。
稚児とは、乳児・幼児のことで、穢れのない子どもには神霊が宿るといわれ、祭事において大切な役割をになってきました。
御仏様に奉仕する身なので、稚児行列も修行の一環とされています。
稚児行列は、お釈迦様の生誕を祝うと共に感謝の気もちを込めて行われ、その御利益をいただくことで子どもの無病息災を祈り、成長を願う儀式でもあります。
花祭りでは稚児行列が行われることがあります。
地域や寺院によって異なりますが、参加年齢は3歳〜10歳までの子供が一般的です。
参加する場合は、事前に確認すると良いでしょう。
甘茶以外に出される食べ物
花祭りの食べ物と言えば甘茶ですが、甘茶以外に精進料理が振る舞われることがあります。
精進料理とは、野菜や穀物などの植物性の食材のみで作られた料理で、もともとは修行僧の料理として生まれました。
その中でも筍(たけのこ)や独活(うど)、空豆(そらまめ)は、地上から天に向かって伸びる姿が仏に似ていると尊ばれています。
筍は仏影蔬(ぶつえいそ)、空豆は仏豆(まめぶつ)とも呼ばれることがあります。
また、独活は漢字自体が仏の教えである天上天下唯我独尊に通じていることから、花祭りなどの精進料理に使用されます。
精進料理花祭りでは、山菜であるよもぎを使用して草団子や草餅、よもぎ餅を作り仏様にお供えする風習があります。
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甘茶の作り方
何らかの事情で花祭りに参加できない方もいらっしゃることでしょう。
その場合「せめて甘茶だけでも」と、お思いの方に自宅での甘茶の作り方を紹介します。
甘茶の作り方は以下をご覧ください。
- 急須で飲む方法
急須にひとつまみの茶葉やティーバッグを入れ、熱湯を注ぎます。
数分蒸らしてから味見し、味がよければいただきましょう。
茶葉の種類により適した量と時間は異なりますが、基本的には1〜2g程度、蒸らす時間は1〜5分程度を目安に作ってみましょう。
- やかんで煎じる方法
やかんを使用する場合は、水1Lに対して2〜20g程度の茶葉やティーバッグを入れます。
沸騰してから3〜20分程度を目安に煎じて、味見します。
急須の場合と同様、茶葉の種類によって量と時間は配分しましょう。
隠し味に甘草(かんぞう)を1Lに対して0.2〜1gほど入れて煮出しすると苦味の少ない甘茶ができますので、ぜひお試しください。
スポンサーリンク宗派によって花祭りは変わる?
宗派によって花祭りの内容は違うのでしょうか。
ここでは、各宗派の花祭りの内容について解説していきます。
基本的に宗派による違いはない
基本的に花祭りは、お釈迦様の生誕を祝う行事のため宗派による違いはありません。
ただし、呼び方は花祭りや灌仏会のほか、仏生会(ぶっしょうえ)、降誕会(ごうたんえ)、浴仏会(よくぶつえ)、花会式(はなえしき)など、さまざまな呼び方があります。
日蓮正宗では花祭りをしない
基本的に花祭りがない宗派はありませんが、例外は日蓮正宗です。
日蓮正宗の本尊は日蓮大聖人(にちれんだいせいじん)と位置付けられているため、お釈迦様の生誕祭である花祭りは行われません。
日蓮正宗では花祭りの代わりに、日蓮大聖人の誕生日である2月16日に、御誕生会が行われます。
ただし、お釈迦様の存在を否定しているのではなく、あくまでもお釈迦様が説いた法華経の教えを重んじているからです。
法華経にはお釈迦様の入滅2000年以後は、功力(くりき)がなくなってしまうと説かれているため、日蓮正宗では日蓮大聖人を重視しています。
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花祭りの甘茶まとめ
ここまで花祭りの甘茶について、使用されている理由や方法、作り方などを中心に解説してきました。
この記事をおさらいすると以下の通りです。
- 花祭りとはお釈迦様の誕生を祝う行事
- 甘茶は過去の言い伝えにより縁起物として使用する
- 花祭りには厳格な作法がない
- 甘茶は急須・やかんで家でも簡単に作れる
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者
山口 隆司(やまぐち たかし)
一般社団法人 日本石材産業協会認定 二級 お墓ディレクター
経歴
業界経歴20年以上。大手葬儀社で葬儀の現場担当者に接し、お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、位牌や仏壇をはじめ、霊園・納骨堂の提案や、お墓に納骨されるご遺族を現場でサポートするなど活躍の場が広い。
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