法事法要
花祭りとはどんな行事?行事の意味・由来を紹介
更新日:2022.11.17 公開日:2022.02.12
寺院や仏教系の幼稚園・学校などで催されることの多い、花祭りについてご存知でしょうか。
春に行われる仏教の大切な行事ですが、意味や由来については知らない方も多いようです。
そこでこの記事では、花祭りについて詳しく説明します。
仏教では宗派を問わず重要な行事である花祭りのことを、この機会に覚えておきましょう。
花祭りにまつわる食べ物や供花についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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花祭りとはいつ?意味は?
花祭りは、仏教の開祖であるお釈迦様の誕生を祝う行事です。
毎年4月8日に寺院などで催されるのが通例です。
日本では、灌仏会(かんぶつえ)・仏生会(ぶっしょうえ)・降誕会(こうたんえ/ごうたんえ)・浴仏会(よくぶつえ)・竜華会(りゅうげえ)などとも呼ばれます。
花祭りの由来
花祭りは、ルンビニ(ネパール)の花園で誕生したとされるお釈迦様の誕生日を祝うために始まった行事です。
寺院に多くの花で飾り付けられた花御堂(はなみどう)を設けたことから、花祭りと呼ばれるようになったとされています。
日本では606(推古天皇14)年4月8日に元興寺で営まれた斎会が始まりとされ、平安時代には毎年恒例の宮中行事となっていたようです。
一般的な仏教行事となったのは江戸時代の寺子屋が始まりとされており、江戸時代中期には浄土宗において花祭りという名称が用いられていました。
その後、明治時代や大正時代に仏教関係者による大規模な催しが行われ、現在では多くの寺院や仏教系の幼稚園などでの恒例行事となっています。
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花祭りで行われる行事の由来・意味
花祭りでは寺院で営まれる法要のほかにも、さまざまな催しが行われるのが一般的です。
それぞれの行事には意味があり、お釈迦様の誕生にまつわる由来をもちます。
花御堂
色とりどりの花々で飾り付けられた小さなお堂は、お釈迦様が降誕されたルンビニの花園を模したものです。
また、仏さまが道を歩く際に花を撒く、散華を模したものともいわれています。
花御堂には浴水盆がしつらえられ、その上に誕生仏を安置するのが通例です。
誕生仏
誕生仏とは、小さなお釈迦様が右手を上に、左手を下に向けて指さしたポーズの立像を指します。
花御堂に安置される誕生仏は、生まれたばかりのお釈迦様の姿を模したものです。
お釈迦様生誕については、生まれてすぐに7歩進み右手で天を、左手で地を指し「天上天下唯我独尊」と口にしたという有名な逸話が残されています。
「天上天下唯我独尊」とは、この世に生を受けたあらゆる命はすべて尊い存在であるということを表した言葉です。
甘茶
花祭りで甘茶を誕生仏にかける習慣は、お釈迦様が生まれた際に天から9頭の竜が甘露の雨を降らせたという逸話に由来し、甘茶は甘露の代わりとされています。
奈良時代の花祭りでは香水をかけていましたが、江戸時代以降に甘茶をかける習慣が広まりました。
甘露とは厄払いや不老長寿の力をもつとされる、霊験あらたかな飲み物です。
そのため花祭りでは参加者にも甘茶が振る舞われ、皆で無病息災を祈りながらいただきます。
また自宅に持ち帰った甘茶で墨をすり「千早振る卯月八日は吉日よ、神下げ虫を成敗ぞする」と記し、門や柱に逆さに貼ると虫よけになるとされているようです。
白い象
各地の花祭りでは白い象が登場することも多く、象の上に花御堂が設置されるケースも少なくありません。
この白い象はお釈迦様誕生の象徴として、花祭りに用いられているようです。
お釈迦様の母親である摩耶婦人(マヤブニン)は、6本の牙をもつ白い象が右脇腹から体に入る夢を見たのちに、お釈迦様を身ごもったとされています。
そのため、白い象がお釈迦様をこの世に連れてきたと信じられているようです。
また白い象は雨を表し、五穀豊穣を祈って飾られているという説もあります。
稚児行列
花祭りの際には、伝統的な衣装を着た子どもが練り歩く、稚児行列を催す寺院も少なくありません。
稚児行列はお釈迦様の誕生日を祝うとともに、参加することで子どもが健康に育つといったご利益(ごりやく)があるとされています。
稚児行列は仏教系の幼稚園などで行われることが多いですが、園児以外も参加できるケースもあるようです。
稚児行列の参加者をホームページで募集している寺院もあるので、興味がある方は一度参加を検討してみてはいかがでしょうか。
スポンサーリンク花祭りの行事食・食べ物
花祭りの際にいただくものといえば甘茶が代表的ですが、他にも行事食として食べられているものがあります。
春に行われる花祭りでは、旬を迎えた春の味覚をいただくことも多いようです。
精進料理
仏教行事である花祭りでは、野菜や穀物を中心とした精進料理が振る舞われるケースも少なくありません。
土の中から空に向かって成長する姿が誕生仏に似ている筍(たけのこ)は、別名「仏影蔬(ぶつえいそ)」とも呼ばれ、花祭りの精進料理にもよく使われます。
「仏豆」という別名をもち、さやの先が天に向かって伸びるそら豆や、「独活」と書く天上天下唯我独尊に通ずるとされるウドも利用されることの多い野菜です。
草団子、草餅、よもぎ餅
地域によっては花祭りの際、山で摘んできたよもぎを使って草団子や草餅、よもぎ餅を各家庭で作る習慣もあるようです。
古くから薬草としても利用されてきたよもぎには、厄を払う力があるとされることから、仏事などでよく用いられています。
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花祭りに供える花の種類は?
花祭りは春に催される仏教行事のため、季節的にもお供えする花には事欠きません。
桜や五月・藤の花などの春を代表する花は、まさにうってつけです。
道端にひっそりと咲く野草や、市の花など地域のお花を供えてもよいでしょう。
洋花では、チューリップやカーネーション・フリージア・アルストロメリアなどが春の花となります。
これらの花々は、和花・洋花に関わらずお供えとして問題ありません。
用意された花御堂に色とりどりの花を飾れば、春爛漫といったイメージになることでしょう。
ただし、華やかな種類の花の中にはお供えには適さないものもあります。
バラなどの棘(とげ)のある花や、花ニラのように匂いの強いものは避けるべきです。
しかし、避けるべき花にさえ注意すれば、選ぶ花にはあまり神経質になる必要はないともいえます。
仏様にお花を供える場合は、小さなブーケや花束などの形式が一般的です。
しかし、寺院の本堂などの屋内に安置されている仏さまに花を供える場合は、籠盛りのアレンジフラワーなどでもよいでしょう。
寺院と聞くと供養のために訪れる場所というイメージが強いため、普段は菊や竜胆(りんどう)などの落ち着いた印象の花を選ぶことが多くなります。
しかし花祭りはお釈迦様の生誕を祝う催しで、キリスト教におけるクリスマスと同様の意味を持つお祭りです。
にぎやかな雰囲気で行われるので、いつもより少し華やかな印象の洋花を選んでも問題ありません。
お祝いに相応しく、鮮やかな黄色が印象的な菜の花、ピンクや黄色のチューリップ、白やオレンジ・赤・ピンクの大きな花を咲かせるアザレアなどもおすすめです。
この機会に、子どもや友人・知人と一緒に近くの寺院を訪れて、華やいだ雰囲気を楽しみながら、花祭りに参加してみてください。
スポンサーリンク花祭りまとめ
ここまで花祭りの由来や、楽しみ方などを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 花祭りはお釈迦様の生誕を祝う仏教行事
- 花祭りはお釈迦様の誕生日とされる4月8日に行うのが基本
- 各地の寺院では、花祭りの際に甘茶かけや稚児行列などが行われる
- お祝いの行事のため、お供えは華やかな祝い花でも問題ない
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者
山口 隆司(やまぐち たかし)
一般社団法人 日本石材産業協会認定 二級 お墓ディレクター
経歴
業界経歴20年以上。大手葬儀社で葬儀の現場担当者に接し、お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、位牌や仏壇をはじめ、霊園・納骨堂の提案や、お墓に納骨されるご遺族を現場でサポートするなど活躍の場が広い。
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