お墓
納骨の方法とは?樹木葬や納骨堂の納骨方法・納骨式の流れを解説
更新日:2024.01.24 公開日:2021.11.18
お墓は亡くなった人の遺骨を保管しておく場所です。お墓に遺骨を納めることを納骨といいます。
実は、納骨はお墓の種類によってさまざまな方法があり、自分で納骨方法を選ぶこともできます。
納骨を考えた場合、どのようなお墓の種類があるのか、納骨方法にはどのような違いがあるのか気になるものです。
そこでこの記事では、納骨の方法について詳しく説明していきます。
納骨方法を知らないと、知らないうちにマナー違反をしてしまう可能性があります。
納骨式の流れについても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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お墓ごとに異なる納骨方法
遺骨をお墓に納めることを納骨と言いますが、その方法や種類はさまざまです。特に近年ではお墓のスタイルが多様化し、複数の納骨方法が自由に選べます。
さまざまな納骨方法を知る上で、代表的なお墓の種類や特徴についてご紹介します。
一般墓
一般墓とは、日本の伝統的な墓石を建立するタイプのお墓です。
新たに建てられた一般墓は、開眼供養の後に遺骨の収蔵先として使用されます。お墓の墓石の下には、納骨室という骨壷を納める部屋があります。
納骨室は、別名でカロートと呼ばれています。納骨式を終えると、骨壷は納骨室(カロート)に安置されます。納骨室は、関東では地下型、関西では地上型と大きく2つに分けられます。
関東地方と関西地方の納骨室の違い
納骨室は、関東地方と関西地方で構造が異なります。関東地方の納骨室は、関西地方の納骨室に比べ、大きく設計されています。
その理由は、骨壷の大きさによる違いがあるためです。関東地方が遺骨の全てを1つの骨壷に納めるのに対し、関西地方では遺骨の一部だけを骨壷に入れます。
その分、関西地方の骨壷は小さいので、納骨室の構造も小さく設計されています。
地下型の納骨室
地下型の納骨室には、墓石手前の花立と線香を置く台の下に石製の蓋があります。その蓋を開けると、骨壷が納められているスペース(納骨室)が現れます。
石製の蓋は非常に重く、普通は石材店が開け閉めをします。誤って落とすと割れるなどの破損につながる可能性もあるので、取扱いには注意が必要です。
地上型の納骨室(丘カロート)
地上型の納骨室は、別名「丘カロート」と呼ばれています。
地上に納骨室があるため、お墓の正面の扉から納骨室にアプローチできます。
扉は観音開きですが、扉の代わりに専用の石で塞ぐ方法もあります。観音開きの扉は壊れやすいので、丁寧に取扱いましょう。
樹木葬
樹木葬とは、一般墓のように石のお墓の中ではなく、自然に還ることを望む人に選ばれる埋葬方法です。
樹木葬の霊園は、草花や木々などの緑が多い場所に多く、明るく暖かい印象なのが特徴です。
一口に樹木葬といっても霊園ごとに埋葬方法が異なり、納骨袋での納骨や骨壷ごとの納骨などさまざまです。代表的な樹木葬の形態をご紹介します。
個別型の樹木葬
一般墓のように、故人や家族単位で個別に埋葬する方法です。
墓石の代わりに草木を植えるなどして、故人の埋葬場所を識別します。多くの場合、遺骨はカロートに納めます。
シンボルツリーを用いた樹木葬
遺骨は個別に埋葬されますが、共有のシンボルツリーが参拝の対象になります。
ツリー周辺に用意されたカロートに遺骨が納められ、その上に石板が設置されています。
合葬型の樹木葬
合葬型(がっそうがた)の樹木葬は遺骨の識別をせず、他人の骨と一緒に同じところに埋葬する方法です。
カロートも石板も使わず、共有のシンボルツリーに手を合わせます。全て共有されるため、最も費用が安い樹木葬の形態です。
永代供養墓
永代供養墓は、永代供養を採用している寺院墓地にある共同のお墓です。
主に、地下室に遺骨を納めるスペースがあります。個別のお墓を持たなく、供養もお寺が行ってくれますが、一定の期限を過ぎると合祀(ごうし)されます。
合祀とは遺骨を1箇所に埋葬することで、個人の遺骨を識別せずに他人の遺骨と一緒に混ぜて供養管理されます。
遺骨が混ざってしまうと取り出すことは難しいので、注意が必要です。
納骨堂
納骨堂は、建物の屋内に用意された小さな納骨スペースに遺骨を安置する施設です。
ロッカー型やマンション型、仏壇型などさまざまな構造があります。
納骨堂を利用する場合はお墓を建立するよりも費用を抑えることができるので、お墓を建立する費用がない場合には検討してみると良いでしょう。
また、子供がいない夫婦や独身の方などお墓の承継者がいない場合にも納骨堂を利用するのがおすすめです。
納骨する時期
火葬後の遺骨は、骨壷に入れられます。その後、お墓に納骨される時期はいつなのでしょうか。
一般的には、四十九日法要と同時に納骨されます。
しかし、いつ納骨するかは法律などによる制限はなく、個人の自由になっています。
四十九日法要以外では、一周忌や三周忌で納骨を行う場合も多いようです。
もちろん葬儀当日でも納骨は可能ですし、希望であれば手元に置いて管理することもできます。
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火葬から納骨までの流れ
実際に、納骨が行われる際の一般的な流れについて解説します。
葬儀当日に納骨する場合
葬儀と火葬を終えた後に、遺骨は斎場や寺院に戻り法要が行われます。その後、埋葬先のお墓に移動して納骨式を執り行います。
無事に遺骨を納骨できたら、参列者で会食をして解散となります。葬儀当日に納骨を行うと、解散まで非常に時間がかかります。
法要に合わせて納骨する場合
火葬後の遺骨を一時的に家などで保管して、法要のタイミングで納骨を行います。
お墓が既にある場合は、自身の都合などで納骨の時期を決めます。葬儀から生活がある程度落ち着いた、四十九日法要のタイミングで納骨するケースが多いようです。
葬儀後にお墓を建てる場合や樹木葬の霊園、納骨堂などを新たに探す場合は、一周忌以降の法要で納骨するといいかもしれません。
お墓の建立には時間がかかりますし、新たな納骨先を探すのも比較検討が必要になります。時間に余裕を持って、一周忌かそれ以降の法要時の納骨が無難です。
納骨の費用
ここまで納骨の方法について解説してきました。
自分に合った納骨方法を考える上で、気になってくるのが費用だと思います。納骨の費用相場についてご紹介します。
一般墓
お寺に納めるお布施 | 3万円~5万円 |
石材店へ払う墓石の彫刻代 | 5万円程度 |
石材店への寸志 | 5,000円程度 |
会食費用 | 一人当たり3,000〜5,000円程度 |
樹木葬
別型(後に合祀) | 20万円~50万円程度 |
合祀型 | 5万円〜10万円程度 |
納骨堂
ロッカー型 | 20万円〜50万円程度 |
仏壇型 | 80万円〜100万円程度 |
マンション型 | 50万円〜100万円程度 |
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納骨式の流れ、方法
納骨式を経験したことがない人の中には、無事に納骨できるか不安に思う人もいるかもしれません。
しかし、流れや方法を事前に知っておくことで、入念な準備ができてスムーズな納骨式を執り行うことができます。
納骨式の流れや方法、事前の準備について解説します。
戒名彫刻などの依頼
納骨式に間に合うように納骨先のお墓に故人の戒名彫刻の依頼をします。
新しく建てたお墓であれば建立者や建立日、必要に応じて故人の命日なども依頼します。
納骨法要の依頼
納骨式で読経をしていただくために、お寺へ納骨法要の依頼を行います。
僧侶の予定と自分の予定を調整するため、なるべく早い段階で依頼するようにします。
参列者への連絡
納骨式の日程が決まったら、参列していただく方たちへ連絡します。
早めに連絡することで、参列者の予定が調整がしやすくなります。
お供え物の準備
納骨式では、お墓にお供えをします。そのため、直前で慌てることのないようにお供え物を事前に準備しておきます。
線香やろうそく、お菓子などは早い段階で用意できます。
お花は納骨式当日に手に入るように、花屋へ予約するか購入できる場所を確認しておきましょう。
納骨式当日の持ち物・服装
納骨式当日の持ち物は以下の通りです。
- 遺骨
- 火葬証明証(埋葬証明証)
- 墓地利用許可証
- 認印
- 数珠
- お供え物
- お布施
納骨式当日の服装は、可能であれば喪服を着用するとよいでしょう。喪服でない場合は、華やかな服装は避けて地味な服装で向かいましょう。
納骨法要の流れ
お寺への納骨法要の日程が定まったら、用意するものがあります。事前に用意するものを、納骨法要の流れに沿って解説します。
お墓にお供え物を置く
法要時にお供えするお花や線香などをあらかじめ準備しておくと、当日慌てずに済みます。
読経
僧侶による読経が納骨前に行われます。
納骨
カロートの蓋を開けて、遺骨を納めます。
読経・焼香
僧侶の読経と先導により、参加者は焼香を行います。
スポンサーリンク自分で納骨することはできる?
お墓との関わり方は、人や家庭の事情によってさまざまです。納骨について理解が深まると、「自分で納骨することはできるのか」という考えも出てくるかもしれません。
納骨には、主に僧侶と石材店が関わっています。個人の遺骨を納骨するために、僧侶は宗教的な部分を、石材店はお墓への収蔵部分を担っています。
僧侶と石材店を介さずに、自分で納骨することはできるのでしょうか。
自分で納骨できる
自分で納骨を行うことは可能です。ですが、大変な作業になるので注意が必要です。
通常は、納骨時に石材屋がカロートの蓋の開け閉めを行ってくれます。
石材屋を頼らずに自分で骨壷を納めるためには、納骨室の構造や開け方を知る必要があります。取扱いも一人ではなく、複数人で行う方がいいでしょう。
また、僧侶を呼ばずに読経を省いた納骨を行う人が近年増えています。しかし納骨するお墓が、菩提寺(ぼだいじ)に属する場合は、お寺に相談することが必要です。
菩提寺は、檀家に対して手厚い供養を行います。その菩提寺に無断で読経なしの納骨を行うことは、失礼に当たってしまいます。
なるべくお寺に事前の相談をしたうえで読経を行うかどうか決めるようにしましょう。
新しくお墓を建てるときは石材店に依頼
納骨時に、自分でカロートの開け閉めを行うことは可能です。
しかし、新たにお墓を建立する場合は、必ず石材店に墓石の設置を依頼をしましょう。
その場合は、お墓の建立に加えて初回の納骨作業までが費用に含まれるので、カロートの開け閉めといった作業まで石材店に任せるといいでしょう。
自分で納骨する方法
自分で納骨する方法の流れについて解説します。
埋葬許可証を準備する
納骨は、法律に則って行う必要があります。
そのために必要なのが埋葬許可証で、火葬後に火葬場から渡される書類です。納骨時には、埋葬許可証をお墓の管理者に提出します。
事前許可を取る
自分で納骨をすることは、個人の自由とされています。
しかし、お墓の管理者へ事前の報告なしで納骨を行うことは、マナー違反といえます。
事前の連絡・相談を忘れずに行うよう注意しましょう。
納骨の日程調整
納骨には、自分以外にも親族を呼ぶこともあります。あらかじめ予定を確認し、納骨の日を決めましょう。
納骨当日の服装
自分で納骨する際は、納骨式のような法要は行いません。カロートの蓋の開け閉めを行うため、動きやすい服装が理想ではあります。
しかし、あまりにもカジュアルすぎる服装は好ましくありません。できるだけ動きやすく、暗めの地味な服装がよいかもしれません。
管理者への挨拶と納骨
当日はまずお墓の管理者へ挨拶し、必要書類を提出します。その後、骨壷をお墓の納骨室に安置して、しっかりと蓋を閉めます。
納骨室の構造には注意が必要
自分のお墓の納骨室の構造は、あらかじめ把握しておく必要があります。
地上カロートであれば扉の開け閉めで済みますが、壊れやすいので丁寧に扱います。
また、カロートの蓋は非常に重いことを知っておくべきです。1人で作業せずに、複数人で取り扱いましょう。
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納骨方法まとめ
ここまで納骨の情報や、納骨方法などを中心にお伝えしてきました。この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 一般墓、樹木葬、永代供養墓、納骨堂はがあり、それぞれ納骨方法が異なる
- 納骨の時期には決まりはないが、四十九日法要と同時に行うことが多い
- 一般的に僧侶と石材店によって納骨されるが、自分で納骨することもできる
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者
山口 隆司(やまぐち たかし)
一般社団法人 日本石材産業協会認定 二級 お墓ディレクター
経歴
業界経歴20年以上。大手葬儀社で葬儀の現場担当者に接し、お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、位牌や仏壇をはじめ、霊園・納骨堂の提案や、お墓に納骨されるご遺族を現場でサポートするなど活躍の場が広い。
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