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金仏壇とは?材料と工法|伝統工芸認定の種類・相場価格を紹介
更新日:2022.05.10 公開日:2022.01.29

記事のポイントを先取り!
- 金仏壇は仏壇の種類の1つで、漆と金箔が使われている
- 金仏壇の一部産地は経済産業省から伝統工芸品に認定されている
- 金仏壇を綺麗に保つためには専用の掃除道具と細めな掃除が必要
仏壇のなかには、金仏壇と呼ばれる特別なものが存在します。
金仏壇は、どのような材料が使用され、どのように作られているのか気になる方も多いと思います。
そこで、この記事では金仏壇について詳しく説明していきます。
この機会に、金仏壇の相場価格も知っておきましょう。
金仏壇の手入れ方法についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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金仏壇とは

金仏壇とは、仏壇の種類の1つで、全体に黒の漆塗りが施され、正面扉を開けた内側には金箔や金粉が施されているものです。
表面の黒の漆塗りと内側の金箔の美しさは、死者の霊が生まれかわる極楽浄土の世界を表現しているといわれています。
金を用いるようになった理由
江戸時代、絵に描いた阿弥陀如来が御本尊として、寺院から人々へ授与されることが増えてきました。
次第に、仏壇にはご先祖様を祀るだけでなく、御本尊を迎えることが増え、仏壇の見た目も変化していきます。
そこで、御本尊を迎えるためには最上位の色を使用する必要があると考えられるようになっていきました。
「金」は色の中で最も位が高いとされている色で、御本尊を迎えるには相応しい色でした。
また、寺院の厳かな雰囲気を仏壇でも表現するためにも、「金」が用いられ、金仏壇が生まれたと言われています。
浄土真宗を中心に発展した
金仏壇はすべての宗派で発展したわけではなく、浄土真宗を中心に発展していきました。
浄土真宗では、教えとして「極楽浄土は光輝くところである」と考えられています。
そのため、極楽浄土を体現しているかのような金仏壇が推奨されるようになりました。
また、浄土真宗には本願寺派(西)と浄土真宗西本願寺派(東)があり、どちらも金仏壇を主に使用しています。
スポンサーリンク金仏壇に使われる材料と工法

寺院のような雰囲気をもつ金仏壇ですが、その製造工程はとても細かく分けられています。
ここでは、金仏壇に使われている材料と工法について詳しく解説していきます。
木地
木地(きじ)とは木材で作られた枠組みのことを指し、ヒノキ・松・杉・ケヤキ・合板・ボードなどが使われます。
それぞれの木材で造った木地で仮組みを行う職人を「木地師」といいます。
塗り
塗りとは、表面を塗る工程のことを指し、日本が誇る「漆」が主に使われています。
漆塗りは塗り重ねるほど耐久性に富み、美しさが増し、高価になっていきます。
そのため、近年では漆塗りの量販が難しいうえ、価格を抑える目的のために、カシューや化学塗料も用いられているようです。
しかし、見た目の美しさは漆に勝るものはありません。
下地
下地とは、木地の上に塗装層を作る工程で、下地の良し悪しが塗りの美しさに影響します。
下地には、牡蠣(かき)や帆立貝(ほたてがい)から作られた粉に膠(にかわ)液を加えた塗料を用います。
牡蠣や帆立貝から作られた下地を用いることで、仕上がりに緩やかな丸みを持たせ、より一層美しく見せてくれます。
しかし、現在量産される金仏壇には、化学塗料が使われていることが多いです。
金箔・金粉
金仏壇は内部が金箔や金粉で飾られている様からその名が名づけられました。
金箔とは、金を薄く伸ばしたものであり、五毛色(ごもうしょく)という金箔は最も金の純度が高く、金98.91%、銀0.49%、銅0.59%の合金です。
金仏壇の金箔は主に「五毛色」(最高純度)から「四号色」(最低純度)が使用され、金の純度により価格も変わっていきます。
また、金箔だけではなく金粉を用いた金仏壇もあります。
金粉は金箔より高価になり、金粉を用いることで、落ち着いた金の輝きを選出できます。
近年では価格を抑えた金仏壇も多く、それらは代用金を使っていることも多いです。
蒔絵
蒔絵とは漆工芸の1つで、日本が世界に誇る伝統工芸です。
漆で文様を描き、金粉・銀粉・スズ粉・色粉を付着させ描いていく技法で、蒔絵の上から漆を塗り、研ぎだします。
蒔絵の上に漆を塗ることで、光沢が増し美しい仕上がりになります。
また、蒔絵には、「磨き蒔絵」「高蒔絵」「平蒔絵」などの種類があり、絵の見え方も違っていきます。
しかし、現在の量産型金仏壇にはシルクスクリーン印刷や、シール式の蒔絵が多いようです。
彩色
彩色とは、色を付ける工程を指し、濃い色を強調する極彩色と、薄い色で表現する淡彩色の2種類があります。
彫刻
仏壇には、さまざまな彫刻があり、欄間・障子の腰・柱飾りが施されています。
また、複数の細かい彫刻を組み合わせた付け彫りと、一枚の板から彫り起こす一枚彫りという種類があります。
錺金具
錺金具とは、仏壇に取り付けられる補強金具・装飾金具のことを指し、鏨(たがね)を使って加工する「手打ち」の技法を主に用います。
また、低価格の錺金具は金型を使い、金属に圧力をかけてつくるプレス金具、数値制御装置を持つNC加工機で線刻文様、透かし彫りなどをつくるNC金具が多く使われています。
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伝統工芸品認定されている金仏壇

金仏壇は、その美しさから経済産業省から伝統工芸品に認定されているものがあります。
金仏壇が伝統工芸品に指定されている産地は以下の15箇所です。
- 山形仏壇:全7工程、宮殿に奥行きがあり、木目調の漆が特徴
- 新潟・白根仏壇:京仏壇を源流とした、堅牢な作りが特徴
- 三条仏壇:全7工程、本格的な宮殿作りが特徴
- 長岡仏壇:全6工程、台座と主体が分かれ、宮殿の屋根が三屋根作りが特徴
- 飯山仏壇:全8工程、宮殿が良く見えるように細工された作り
- 三河仏壇:全8工程、お参りをしやすくするため、台が低く作られている
- 名古屋仏壇:全8工程、台の下の扉が手前に開く「まくり」を備えているのが特徴
- 金沢仏壇:全7工程、金箔をふんだんに使われている
- 七尾仏壇:全5工程、頑丈で、重々しく立派な作りと華やかで美しい見た目が特徴
- 彦根仏壇:全7工程、高級素材を使った、大型仏壇が特徴
- 京仏壇(京都は京仏具も別途指定):全10工程、京型別台が設置されている作り
- 大阪仏壇:全11工程、各宗派用に違った型の仏壇を作るのが特徴
- 広島仏壇:全7工程、釘を使わず、広島名産の牡蠣の殻を砕いた砥粉下地を使う
- 八女福島仏壇:全80工程程、仏間に置けるように低く作られているのが特徴
- 川辺仏壇:全7工程、台座と本体が一体化した構造が特徴の小型仏壇
15の産地の仏壇は、80もの工程を経て作られる八女福島仏壇や金箔をふんだんに使用した金沢仏壇など、産地により形や工程、特徴に違いがあります。
しかし、どの産地の金仏壇も伝統工芸品に認定されるだけの伝統と美しさを持っているということです。
スポンサーリンク金仏壇の相場価格

金仏壇の相場価格は80万〜130万円程度とされています。
金仏壇の価格は仏壇の大きさ、金箔・金粉の使用量、彫刻・蒔絵の施しにより大きく変動し、上限にきりはありません。
また、量産されている金仏壇は海外産で作られているものも多く、海外産の金仏壇は価格も低く設定されています。
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金仏壇を綺麗に保つポイント

金仏壇は漆塗りや金箔で作られている特徴から、綺麗に保つためにいくつかのポイントを押さえておく必要があります。
- 金箔や金粉の部分は細心の注意が必要
金箔や金粉で内側が綺麗な金仏壇ですが、経年劣化で金箔や金粉が剥がれ易くなっていることがあります。
そのため、金箔や金粉部分の掃除には細心の注意が必要です。
- 細めな掃除を心がけ、掃除には専用の道具を使う
漆と金箔はとても繊細な素材のため、損傷・劣化防止の観点から、掃除する際は専用の道具を使うようにしましょう。
また、埃が被らないよう細めに掃除しておくことも劣化防止に繋がります。
- 直射日光が当たる場所への設置は避ける
劣化防止のために、金仏壇は直射日光の当たらない場所に設置するようにしましょう。
金仏壇に使われている漆と金箔は直射日光に弱く、日光に当たり続けるとすぐに劣化してしまいます。
仏壇のお掃除はとても大切ですが、無理に掃除してしまい、破損することもあります。
まずは、無理のない範囲で丁寧に掃除していくことを心がけましょう。
スポンサーリンク宗派別の金仏壇の特徴

金仏壇はその見た目の美しさから、「極楽浄土は金色に輝く場所」と教えられている浄土真宗を中心に広まっていきました。
また、金仏壇は作られる産地によって特徴があるように、宗派によっても特徴があります。
浄土真宗には様々な宗派がありますが、「大谷派」「本願寺派」「高田派」と禅宗仏壇の金仏壇の特徴を見ていきましょう。
浄土真宗大谷派
浄土真宗大谷派(東本願寺・お東)の宗派向けの金仏壇は、漆塗り面が多く落ち着きがあるのが特徴です。
漆黒と金箔の色合いがしみじみとした風情が感じられる荘厳な雰囲気があります。
また、内部の柱や小柱が黒漆塗りで、金と黒のコントラストが美しく、屋根は巴瓦付で二重に備わっています。
浄土真宗本願寺派
浄土真宗本願寺派(西本願寺派・お西)の宗派向けの金仏壇は、金箔面が多く、絢爛豪華な見た目が特徴です。
また、内部の柱や小柱にも金箔を貼り付け、柱間に昇竜、降竜の彫り物があります。
屋根は巴瓦の無い一重の張りで、全体的にきらびやかな作りです。
浄土真宗高田派
浄土真宗高田派向けの金仏壇は、「本願寺派」に似て、一重のお屋根に巴瓦はありません。
内部の柱と小柱にも金箔を押し「本願寺派」と同じく柱間に昇竜、降竜の彫り物があります。
また、小柱に『沙綾形(さやがた)』と呼ばれる独特の彫りを施してあります。
正面中央のご本尊が安置されるところに唐戸を付け、本体の中柱にも昇竜、降竜の彫り物があるのが特徴です。
禅宗仏壇(余宗)
金仏壇は浄土真宗を中心に広がりを見せましたが、浄土真宗以外の宗派でも金仏壇にすることは可能です。
禅宗仏壇(余宗)とは、浄土真宗以外の宗派向けの金仏壇です。
主に、曹洞宗・臨済宗・天台宗・浄土宗・日蓮宗・真言宗の方がこの禅宗仏壇(余宗)を選ぶことができます。
巴瓦付の一重の屋根又は、屋根張りを持たないのが特徴で、全体が「桝組み」だけで仕上げられている作りになります。
また、本体部分にうねり欄間と花頭障子が必要で高欄は金箔押し、又は溜色仕様のことが多いです。
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金仏壇のまとめ

ここまで金仏壇についてや材料と工法についてなどを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 金仏壇とは仏壇の種類の1つで、漆と金が使われている
- 金仏壇は細かな工程で制作される
- 金仏壇の一部の産地は伝統工芸品に認定されている
- 相場価格は80万円~130万円程度
- 金仏壇を綺麗に保つためには専用の掃除道具を使う
これまでの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者

山口 隆司(やまぐち たかし)
一般社団法人 日本石材産業協会認定 二級 お墓ディレクター
経歴
業界経歴20年以上。大手葬儀社で葬儀の現場担当者に接し、お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、位牌や仏壇をはじめ、霊園・納骨堂の提案や、お墓に納骨されるご遺族を現場でサポートするなど活躍の場が広い。
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