法事法要
盆棚の基本的な飾り方とは?宗教・地域の違いや片付け方も紹介
更新日:2022.08.26 公開日:2022.07.05

記事のポイントを先取り!
- 盆棚とはご先祖様や故人に対するお供え物を置く棚のこと
- 九州地方では送り火の際に精霊船を流す習わしがある
- お供え物で食べられるものはありがたくいただく
お盆は日本人にとって馴染みの深いものになりますが、盆棚の飾り方についてご存知でしょうか。
故人の供養にもつながる盆棚の基本的な飾り方を知っておきましょう。
そこでこの記事では、基本的な盆棚の飾り方について詳しく説明していきます。
この機会に盆棚の飾り方や片付け方を覚えておきましょう。
神道の場合の飾り方についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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盆棚とは
まずはそもそも盆棚とはどのようなものなのか詳しく紹介していきます。
盆棚とは、ご先祖様や故人に対するお供え物を置く棚のことです。
別名で「精霊棚(しょうりょうだな)」とも呼ばれています。
仏教では、お盆の期間中に仏様があの世からこの世に帰ってきているとされています。
そのため、盆棚にお供えをすることで、故人やご先祖様をお迎えするといった意味合いがあります。
ひと昔前までは庭先や玄関、お墓などに盆棚を飾ることが多かったのですが、最近は仏壇の前に飾られることが一般的になっています。
盆棚には何を飾る?

次は、実際に盆棚には何を飾るのか紹介していきます。
盆棚に飾るものを以下にまとめます。
精霊馬・精霊牛
精霊馬(しょうりょううま)・精霊牛(しょうりょううし)とは、キュウリとナスで作った馬や牛の形の人形のことです。
この牛や馬はご先祖様や故人がこの世とあの世を行き来する際に使う乗り物であるとされています。
馬にはこの世に来るときに、早く帰ってきてほしいといった思いが込められています。
また、牛にはあの世に戻るときに、ゆっくりと戻ってほしいといった願いが込められています。
地域によっては牛と馬の考え方が異なる場合もあります。
丁寧にゆっくりとお迎えできるように牛に乗って来て、帰りにはお供え物を乗せて馬で急いで帰ってもらうなど地域によって考え方がさまざまです。
素麺
素麺はご先祖様や故人が乗る馬の手綱を表しているとされています。
また、素麺には細く長く幸せが続くように、といった願いも込められているとされています。
ご先祖様があの世に帰るときに、荷物を背負う紐の代わりにもなっているといった考え方もあります。
これらのことから、お盆のお供え物として素麺がお供えされるようになりました。
ほおずき
ほおずきの形は盆提灯によく似ていることから、ご先祖様や故人が迷わずに帰ってこられるような目印になるとされています。
盆提灯の役割と同様にほおずきを盆棚に飾ることで、歓迎の意を表しています。
また、古くは農作物の収穫量が少なかった際に、鮮やかな赤いほおずきをお供えすることで、お供え物の不足を補うといった意味合いがあったとされています。
生花
仏壇やお墓に仏花を飾ることと同じように盆棚にも生花を飾ることが一般的です。
花の種類としては、ユリやキキョウ、ハギ、ミソハギ、オミナエシなどがよく選ばれます。
元々は盆花迎えと呼ばれ、ご先祖様や故人が盆花を依代(よりしろ)として自宅に帰ってくる仏事が行われていました。
この延長として盆棚には生花が飾られるようになったとされています。
花を選ぶときにはいくつかの注意点があり、トゲや毒のある花は避けることがマナーになります。
また、臭いのきついものや植木なども不向きであるとされています。
水の子
水の子は別名「水の実」とも呼ばれ、蓮の葉の上に洗ったお米とさいの目切りしたキュウリやナスを盛り付けたものになります。
水の子には、ご先祖様や故人が戻ってきたときに渇いた喉を潤せるようにといった思いが込められています。
閼伽水・みそはぎ
閼伽水(あかみず)とは、器にきれいな水を入れたものになります。
この器の中には、みそはぎの花を添えて飾ります。
これにはご先祖様や故人がこの世に帰ってきたときに、一緒に付いてきた悪霊を祓うといった意味合いがあります。
盆提灯
盆提灯を飾ることで、ご先祖様や故人がこの世に帰ってくるときの目印になります。
この目印があることで、迷わずにあの世から戻ってくることができるようにといった思いが込められています。
目印の役割があることから、盆提灯は軒先や盆棚に飾られることが一般的となりました。
果物・旬の食材
盆棚には旬の野菜や果物などの季節の食べ物をお供えすることが一般的です。
この他にもお菓子や故人の好きだったものをお供えするケースが多いです。
これには、空腹で帰ってきたご先祖様や故人が旬の食べ物や好きだったものを見て楽しめるようにといった意味合いがあります。
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盆棚の飾り方
次に、盆棚の飾り方について紹介していきます。
以下で平机と祭壇の飾り方について説明していくので参考にしてください。
平机への飾り方
平机での盆棚の飾り方を紹介していきます。
まず、まこもを敷いた台の四隅に青竹を立ててその上部に縄を張ります。
これは結界を表しているとされています。
縄には以下のものを吊るします。
- ほうずき
- アワ
- 桔梗
- 山ユリ
- みそはぎ
※地域によっては縄には盆花を吊るさずに、花立てに盆花を飾るだけのところもあります。
まこもの上には以下のものを置きます。
- 位牌
- ろうそく立て
- 香炉
- 花立て
- お供え物
※位牌の前には精霊馬をお供えします。
その他にお供え物として、線香・花・灯明・浄水・盛物・果物・野菜・素麺・餅・団子・故人の好きだった食べ物などを置きます。
祭壇への飾り方
祭壇の場合の盆棚の飾り方を紹介していきます。
盆棚の一番上にはご位牌を安置します。
「霊前灯」と呼ばれる小さな提灯や仏花を飾り、位牌の周りを華やかに飾ると良いでしょう。
提灯には目印となるように灯りで道を作る意味合いがあるので、盆棚の脇に対になるように飾ります。
2種類の提灯(家紋の入った提灯と絵柄の入った提灯)を飾るケースでは、手前側に絵柄の入った提灯を、一番奥に家紋提灯がくるようにして扇形に広がるように飾ります。
お供え物やお参り道具は祭壇の一番下の段に安置します。
盆棚の四隅に青竹を立てて、竹の上にしめ縄を張り巡らせて結界とします。
しめ縄にはほおずきや昆布などを吊るすと、より正式な形になります。
宗派ごとの飾り方の違い

次に、宗派ごとの盆棚の飾り方の違いについて紹介していきます。
以下で宗派ごとに詳しく説明していきますので参考にしてください。
浄土宗
浄土宗の盆棚の飾り方を以下にまとめます。
- 仏壇の前に置いた盆棚の上に蓮の葉とお膳を置きます。
- 蓮の葉の上には野菜や果物をお供えします。
- 盆提灯を飾りますが、新盆の場合には柄の付いていない白提灯を使用します。
- その他のろうそくやお線香などは普段お供えしているような形で問題ありません。
曹洞宗
曹洞宗の盆棚の飾り方を以下にまとめます。
- ご位牌はお盆のときのみ仏壇の正面へくるように安置します。
- 盆提灯は2つあり、仏壇の両サイドにあるスペースへ対になるよう安置します。
- お供え物には旬の果物や野菜、お菓子などを用意し食べられる状態にしてお供えします。
なお、曹洞宗ではお盆の時期になると、ご先祖様の他にもお連れの方がいることを考慮し、1人前を余分にお供えします。
お供え物を何にするか迷った場合には、生前故人が好んで食べていたものを用意しましょう。
- その後、精霊馬を飾ります。
日蓮宗
日蓮宗には明確に決まった盆棚の飾り方はありません。
そのため、地域性にあった飾り方をすることをおすすめします。
なお、仏壇を閉めたときにご位牌だけでなく、ご本尊をお出しすることを忘れないように注意しましょう。
日蓮宗のお供え物で一般的な宗派と異なるものは以下の通りです。
- 曼荼羅(まんだら) ※ご本尊のことです
- 日蓮大聖人像
- 灑水盤(しゃすいばん) ※水を入れます
天台宗
天台宗では「法華経」の教えにて努力をすれば誰でも仏様になれることを教えとしています。
総本山は「比叡山延暦寺」で、盆棚の一番上にはご本尊を安置し、その両脇に小脇掛を安置することが特徴になります。
浄土真宗
浄土真宗では人は亡くなったらすぐに成仏すると考えられていますので、そもそも供養といった概念はありません。
そのため、お盆の際に他の宗派のように迎え火や送り火といった儀式は行わないことが特徴になります。
またお膳は必要なく、お供え物は法要のとき同様の飾り方で問題ありません。
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地域ごとの飾り方の違い
次に、地域ごとの飾り方の違いについて紹介していきます。
以下でいくつかの地域を挙げて詳しく説明していきますので参考にしてください。
北関東
北関東では盆棚に特徴があり、雛壇のような形状のものが使われます。
また、まこものゴザが一般的ですが、北関東では「金襴緞子(きんらんどんす)」や「白緞子(はくどんす)」と呼ばれる繻子(しゅす)の絹による織物を飾ります。
縄には「鬼灯」や「杉の葉」を一緒に飾ることも特徴です。
東海地方
東海地方では、「神皿(洗米皿)」と呼ばれる素焼の皿の上に経木を置いて、御膳でご馳走を振る舞うように飾ることが一般的です。
そこに苧殻(おがら)で作った箸を添えてご先祖様に向けて飾ります。
また、「経木(きょうぎ)」と呼ばれる主に杉や檜の薄い板をお供えするケースもあります。
東海地方では「迎え火」や「送り火」については、苧殻の代わりに「たいまつ」が使われることが一般的です。
神奈川
神奈川県では、他の地域と比べると地域色が濃い盆飾りが特徴になります。
特に新盆においては、地域性が強い盆棚飾りがあるといわれています。
具体的には、新盆では「白草履」「かけ袋」「笠と杖」「白扇子」「麻ひも」を飾ります。
このような盆飾りを「施餓鬼法要(せがきほうよう)」や「施餓鬼供養(せがきくよう)」の3日前までに、普段からお世話になっている寺院へ届けるといった習わしがあります。
また、「砂盛(すなもり)」と呼ばれる川砂を敷き詰め、「線香や盆花」を刺し飾るところや「赤やピンクの盆花」を飾ることもあるようです。
九州地方
九州地方の一部地域では、送り火の際に「精霊船(しょうろぶね)」と呼ばれる船を流す習わしがあります。
精霊船は新盆で使われることが一般的で、精霊流しの行事でした。
現在では精霊船を川に流すことが禁止となっているところも多く、その代わりに盆棚の飾りの一つになっています。
初盆の飾り方
初盆とは、故人が亡くなって四十九日法要を終えてから初めて迎えるお盆のことです。
初盆はお盆の中でも盛大に執り行われることが一般的になります。
初盆で特徴的なものは、白い提灯です。
これを「白提灯」と呼び、通常の柄入りの盆提灯に加えて飾ります。
白提灯を飾る意味合いとしては、初めて故人があの世からこの世に戻ってくる際に迷わないように、といった思いが込められています。
この他にも白提灯を飾ることで、近所の人に初盆であることがわかるようにといった意味合いもあります。
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盆棚の片付け方

次に、盆棚の片付け方について詳しく紹介していきます。
片付けを始めるタイミングや片付け方について、以下で詳しく説明していきますのでご覧ください。
片付けはいつから始める?
盆棚の片付けは、明確にいつまでにしなければいけないといった決まりはありません。
ただしお盆中は飾っておくことが一般的であり、故人やご先祖様を送り出した翌日である17日に片付けることが多くなっています。
2022年であれば7月がお盆の地域は、7月16日(土)あるいは7月17日(日)に片付けをすることになります。
8月がお盆の地域では、8月16日(火)あるいは8月17日(水)が片付けの日になります。
片付け方
盆棚の片付け方について以下で紹介していきます。
3通りに分けて片付け方を詳しく説明していきますので参考にしてください。
いただくもの
盆棚にお供えした食べ物の中で家族でいただけるものは、いただくことをおすすめします。
一度お供えしたものを食べることをお下がりといいますが、このお下がりをいただくことで、仏様の力を分けていただけるとされています。
果物やお菓子などの食べられるものは、粗末にせずにありがたくいただくことをおすすめします。
処分するもの
翌年には使いまわせないような仏具に関しては、近所の寺院やお世話になっている寺院に持って行き、お焚き上げしていただくと良いでしょう。
ゴミとして処分することに抵抗がある方は、お焚き上げすることで精神的にも罪悪感がなくなります。
保管するもの
盆提灯や机などの翌年も使うことができるものは、お盆の期間が終わったら丁寧にお手入れをして大切に保管しましょう。
なお、新盆で使用する白提灯はその年限りのものであり、使いまわしはできないので覚えておきましょう。
お盆飾りセットなどの中にあるレプリカの材質のものであれば翌年も使用できます。
まこものゴザについても、多少の汚れであれば拭いてしっかりと乾燥させれば、使いまわしができます。
神道の場合の飾り方
最後に神道の場合の飾り方について紹介していきます。
お供え物やその並べ方について以下で詳しく説明していきますので参考にしてください。
精霊棚には何を飾る?
神道での精霊棚に飾るお供え物を以下にまとめます。
- 洗った米
- 日本酒
- 丸餅
- 天然塩
- 水
- 海のもの
- 山のもの
- 数種類のお菓子
お供え物の並べ方
お供え物の並べ方についてはいくつかのポイントがあります。
お供え物の中で序列が高いものから順に並べていくことがマナーになります。
神様から見て序列が高いのは、祭壇の高い中央や左側になります。
序列の高い順にお供え物を記載します。
- 米 ※小皿に盛ってお供えします
- 酒 ※「瓶子(へいし)」と呼ばれる白い瓶に入れてお供えします
- 餅
- 鮮魚(海の幸など) ※頭が中央を向くようにお供えします
- 乾物
- 野菜
- 果物
- 塩 ※小皿に盛ってお供えします
- 水
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盆棚の飾り方まとめ

ここまで盆棚の情報や、飾り方などを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 盆棚とはご先祖様や故人に対するお供え物を置く棚のこと
- 提灯には灯りで道を作る意味があるので、盆棚の脇に対になるように飾る
- 初盆では故人があの世からこの世に戻ってくる際に迷わないように白提灯を飾る
- 盆棚は故人やご先祖様を送り出した翌日である17日に片付けることが多い
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者

田中 大敬(たなか ひろたか)
厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター
経歴
業界経歴15年以上。葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから著名人や大規模な葬儀までを経験。お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、特に士業や介護施設関係の領域に明るい。
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