法事法要
迎え火をまたぐのにどんな理由があるの?迎え火のやり方も紹介
更新日:2022.05.28
お盆には、故人を迎えるために迎え火を焚く風習があります。
その際、迎え火をまたぐ行事が一緒に行われる地域もありますが、これにはどんな理由があるかご存知でしょうか。
そこでこの記事では、迎え火をまたぐ理由について解説します。
この機会に、迎え火のやり方を知っておきましょう。
後半では、地域ごとの迎え火の風習についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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迎え火とは
迎え火とは、初盆やお盆に行われる儀式で、故人や先祖の霊を迎えるための目印として火を焚くというものです。
迎え火は、以前まではお墓の前で行われていましたが、現在は、自宅の玄関や庭などで焚かれています。
また、迎え火は先祖を迎えるためのものですが、お盆の終わりには先祖をあの世へと送るために送り火が焚かれます。
迎え火をまたぐ意味
地域によっては、迎え火をまたぐ風習がありますが、この風習にはどういった意味が込められているのでしょうか。
ここでは、迎え火をまたぐ意味について紹介します。
またぐことで無病息災の意味がある
迎え火をまたぐことには、無病息災を願う意味が込められています。
家族全員で迎え火をまたぐことで一年間、皆が健康でいられるようにと祈りを捧げるのです。
迎え火のまたぎ方
一般的に玄関側から外側に向けて、3回迎え火をまたぐというのが作法だとされています。
しかし、地域によって、またぎ方の作法が異なる場合もあります。
その地域ごとに作法が決められているため、それに従って行いましょう。
送り火のまたぎ方
お盆の終わりには送り火を行いますが、その際も迎え火と同様、地域によっては火をまたぐ風習があります。
この送り火のまたぎ方も、迎え火と同様に玄関側から外側にむけてまたぐのが基本ですが、逆の場合やまたぐ回数が違う場合もあります。
そのため、送り火をまたぐ場合はその地域ごとの風習に従って行いましょう。
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迎え火のやり方
ここからは迎え火のやり方を紹介します。
迎え火をする際に必要な準備や、迎え火をする時間なども詳細に説明しますので、参考にしてください。
迎え火の準備
迎え火で必要なものは以下の通りです。
- 苧殻(おがら)
- 焙烙(ほうろく)
- 盆提灯
迎え火を行う際は、苧殻を燃やして火を起こします。
この苧殻とは、麻の芯部分のことで、仏教や神道の儀式ではよく使われるものです。
焙烙は迎え火に使う苧殻を入れる入れ物で、この上で火を起こします。
手に入らない場合には、家庭にある平皿でも代用することができます。
盆提灯は送り火・迎え火の代わりとして飾られるもので、火を起こせない場合はこれを代用品として使います。
迎え火を行う際は、上記3つを必要に応じて用意しましょう。
迎え火をする時間
迎え火が行われるのは、お盆の初日である8月13日の夕方頃です。
また、地域によっては旧暦である7月にお盆が行われるため、その場合は迎え火が行われるのは7月13日となります。
ちなみに、送り火はお盆明けとなる8月16日か7月16日の夕方頃に行われます。
迎え火の焚き方
迎え火を焚く際は、基本的に以下の手順で行われます。
- 苧殻・焙烙を用意する
- 焙烙に苧殻を置く
- 玄関先・庭など、迎え火を行う場所にセットする
- 苧殻に火を付ける
- 火に向かって合掌する
- 苧殻が燃え尽きたら、鎮火させる
- 苧殻・焙烙を片付ける
以上となります。
迎え火は、上記の手順を参考にして行ってください。
迎え火の片付け方
迎え火は実際に火を燃やして行うため、誤った方法で片付けてしまうと、火事などの原因に繋がりかねません。
迎え火で使った苧殻が燃え尽きたら、水に浸けて完全に鎮火させましょう。
鎮火が確認できたら、燃えるゴミに入れて捨てます。
また、焙烙は迎え火が終わったらしっかりと洗って、カビが生えないように乾燥させましょう。
この片付け方は送り火の場合でも同じです。
迎え火・送り火をやった後は、片付けまでしっかり行いましょう。
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迎え火を焚けない場合はどうすれば良い?
マンションやアパートなどに住んでいると、玄関先やベランダで火を焚くことはできません。
近隣の迷惑になりますし、そもそもベランダや玄関で火を焚くことは契約違反となる場合が多いためです。
もし、上記のような理由で迎え火が焚けないという場合には、盆提灯を飾って迎え火の代わりにしましょう。
近年は火を使わない、電気でライトを付けるタイプがホームセンターなどで売られています。
そのため、マンションやアパートに住んでいる方でも、気軽に使えます。
盆提灯は迎え火のように、故人が家に帰ってくる目印として使えるものですので、安心して盆提灯を使いましょう。
地域ごとの迎え火・送り火
迎え火・送り火が地域ごとにやり方が違うというのは、迎え火をまたぐ風習から見ても分かります。
ここからは、地域によって異なる迎え火・送り火の風習を紹介します。
長崎の精霊流し
長崎では精霊流しという行事が行われ、全国的に有名です。
精霊舟と呼ばれる、木や藁でできた船に故人の霊とお供え物を乗せて流します。
故人の魂をあの世に送る行事で、一般的な送り火にあたるものです。
流した船は流し場と呼ばれる場所まで運ばれます。
船を流している間は、爆竹を鳴らしたり掛け声をかけたりするため賑やかに行われます。
京都の五山送り火
京都の五山送り火とは、5つの山で送り火を行うという行事で、中でも大文字焼きと呼ばれる大文字山で行われる送り火は全国的に有名です。
この大文字焼きは、その名の通り、大という字に火を焚くのが特徴で、その様子はインパクトも大きく、これを見に多くの観光客が訪れます。
広島の盆灯籠
広島では、盆灯籠と呼ばれる風習が残っています。
これは、特に広島県の西の方で行われるもので、お墓参りの際にお墓の前に線香やお花などと一緒に盆灯籠が供えられます。
盆灯籠は緑・黄・赤・白・紫などのカラフルな色で彩られ、お盆の風物詩にもなっています。
岩手の四十八燈
岩手では、迎え火として四十八燈と呼ばれる行事が行われます。
これは、新盆から3年間限定で行われるもので、48本の蝋燭を供えることで先祖を家に迎え入れるというものです。
お盆には、この四十八燈に向かって遺族や知人が拝みます。
蝋燭が消えると、この行事は終了となります。
阿弥陀如来が法蔵菩薩のときに、行った修行で立てた48の願いが、この四十八燈の由来だとされています。
富山・石川の御招霊
富山・石川では御招霊(おしょうらい)と呼ばれる行事が行われます。
この行事では、先祖の霊を呼び寄せるために高さ1メートル程度の松明柱に、火を付けるというものです。
この松明柱が目印となって、先祖を導いてくれると考えられています。
地域によっては子どもたちは「しょうらい、しょうらい」と声を上げて、先祖たちを招きます。
この「しょうらい」というのは「招霊」という意味だけでなく、「精霊(しょうらい)」という意味もあるようです。
導かれて帰ってきた先祖の霊は、家族とともにお盆を過ごすとされています。
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迎え火をまたぐまとめ
ここまで、迎え火のやり方や迎え火をまたぐ理由について解説してきました。
まとめると以下の通りです。
- 迎え火とは、先祖が帰ってくれるために目印として火を焚くお盆の儀式のこと
- 迎え火をまたぐのは、家族の無病息災を願うため
- 迎え火を行う際は苧殻と焙烙が必要
- マンションやアパートなどで迎え火を行う際は、火を焚く代わりに盆提灯を使う
- 迎え火・送り火には、地域ごとに様々な特色ある風習が残っている
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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