お葬式
別れ花はどのように納棺する?花入れの儀や副葬品について紹介
更新日:2022.11.18 公開日:2022.01.21
出棺の前には、故人との最後のお別れとして花を納棺する花入れの儀が執り行われることをご存知でしょうか。
棺に花を入れる理由や、入れる花には適したものがあることを知っておきましょう。
そこでこの記事では、納棺する花について詳しく解説していきます。
この機会に花を納棺する流れについても確認しておきましょう。
花は持参しても良いのかや、花以外に入れるものについても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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花入れの儀とは
葬儀が終わると、出棺の前に近しい人と故人との最後の別れの機会が設けられます。
その際には、棺の中にお花を手向ける儀式が執り行われるのが一般的です。
これは「花入れの儀」「お花入」「お別れの儀」などと呼ばれます。
必ずしなければいけない儀式ではありませんが、その時間が設けられることは多いです。
故人との最後の別れの時間に、顔を見ながら声をかけ、心に区切りをつけるための時間と考えると良いかもしれません。
旅立ちの時に、送り出す側からの気持ちの印としてお花を贈り、故人との最後の別れを心に刻みます。
納棺時に花を入れる理由は?
出棺の際に花を手向けるようになったのはなぜでしょうか。
花を入れる理由については、諸説あるようです。
死者を花で弔っていたことを記した最も古い記録としては、イラクで発見された5万年ほど前のネアンデルタール人の墓になります。
少なくともその頃から、死を悼み大切に埋葬するために花を供える文化があったと考えられています。
仏教的な視点から考えると「仏陀が亡くなった時に沙羅双樹の満開の花に囲まれていた」という説話が関係しているようです。
また花を納棺するのには「美しい花々が咲き誇る極楽浄土へ迷わず行けるように」との願いが込められているともいわれています。
いずれにしても送り出す側の気持ちとしては、キレイな花に囲まれて旅立ってほしい、という想いがあるでしょう。
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入れる花の種類
花入れの儀で棺に入れる花のことを「別れ花」ともいいます。
ここでは、出棺の前に入れる別れ花の種類について、宗教別に見ていきましょう。
納棺に適した花
仏教
日本において、神道と共に多くの人が信仰しているのが仏教です。
仏教においては、別れ花には菊・百合・蘭・カーネーションなどが適しているとされています。
以前は白菊がほとんどだった供花も、最近では色のある花も一般的になってきました。
時代と共に、変わりゆく部分でもあるようです。
神道
仏教と並んで、日本で多く信仰されている宗教です。
神道では、菊・百合などが適しているといわれています。
キリスト教
日本で信仰している割合は、仏教や神道と比較すると多くありません。
花を手向けるという点では同じ行為ですが、その意味合いは少し違うものがあるようです。
キリスト教で納棺するのに適している花は、百合・カーネーション・菊(小菊やスプレー菊)などです。
仏教で良く使われる白や黄色の大きめの和菊(輪菊)は好ましくありません。
宗教によって適した花はありますが、最近は故人が好んだ花や、故人が入れてほしいと願っていた花など、決まりに縛られず花が選ばれることも多くなってきました。
一般的な供花とは異なる種類の花を、花束などにして納棺したいという希望がある場合は、可能かどうかを葬儀屋に相談すると良いでしょう。
持ち込むことが可能な場合であっても、あまりに大量の花を持ち込むことは控えましょう。
納棺に適さない花の種類
別れ花が多種多様になってきたとはいえ、どのような花でも良いわけではありません。
さまざまな理由から避けたほうが良い花もあります。
ここでは、できれば避けたい種類の花をお伝えします。
毒や棘のある花
出棺の際に花を入れるのは、故人にとっても大切な親しい人たちです。
花を直接手に取って入れるわけですから、毒や棘のあるものは避けたほうが良いでしょう。
棘のある花でも例えばバラなど、故人の希望で入れたいという場合には、葬儀屋によっては棘を取り除いてくれることもあるかもしれません。
できるだけ故人の想いを叶えられるように、相談してみましょう。
また、枯れかけている花も避けましょう。
色素の強い花
色素の強い花、つまり色の濃い花は、葬儀の場に飾られることはあまりありません。
真っ赤な花や黒い花など、血液を思わせる花は特に避けたほうが良いでしょう。
どちらかというと落ち着いた、淡い色合いの花が選ばれることがほとんどです。
ただし故人の強い希望がある場合は、色の濃い花でも飾ってもらえるかもしれないので相談してみましょう。
また、色の濃い花を避ける理由の一つとして、火葬の際に花の色が骨に写ってしまうことがあるようです。
色の濃い花を納棺するのはできるだけ避けた方が良いことを念頭に置いておきましょう。
スポンサーリンク別れ花は持参しても良い?
別れ花は、基本的には祭壇に供えられた花(供花)を納棺するのが一般的です。
葬儀が終わって花入れの儀に移る前に、葬儀場のスタッフが花をお盆などに載せて準備するのを待ちましょう。
しかし別れ花は、供花でなければならないという決まりはありません。
参列者自身で別れ花を用意することも可能です。
故人の好きだった花を、花束にして持っていきたいという方もいるでしょう。
ただしその場合には自分だけで判断せず、まずはご家族や葬儀屋に相談してください。
宗教的に適さない花の場合もあります。
別れ花を持参しても問題ないか、また納棺の際に入れられるかどうかを確認してから用意するようにしましょう。
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別れ花を納棺する流れ
ここでは、別れ花を納棺する時の流れと注意点を詳しく解説していきます。
花入れの流れ
- 葬儀
故人の親族や親しくしていた方などが参列して葬儀を執り行います。
- 親族や故人と近しかった方以外は一旦退場
葬儀が滞りなく終了した後、花入れの儀に参加する方以外の参列者は式場から一旦退席します。
- 棺が祭壇から下ろされる
葬儀場スタッフにより棺が祭壇から下ろされます。
棺の蓋を開けて、故人との最後の別れである花入れの儀式に移ります。
- 葬儀場スタッフが別れ花を準備
葬儀場スタッフが、供花をかごやトレーに入れて準備をします。
この際に、持ち込んだ花などを入れたい場合は準備しましょう。
葬儀屋に花を預けておくのも良いかもしれません。
- 一人一輪ずつ棺に花を手向ける
葬儀場スタッフから別れ花を受け取り、故人と最後のお別れをします。
喪主、喪主の配偶者、親族(親・兄弟姉妹・子ども・孫)から順番に花を手向けていきます。
一通り別れ花を入れた後、まだ残っているようであれば、もう一度花を受け取って棺に入れていきましょう。
時間の都合などにより、スタッフも一緒に花を入れていくことがあるようです。
- 棺の蓋を閉める
別れ花を入れ終わったら、棺の蓋が閉められます。
- 出棺
火葬場まで、棺を移動させます。
入れる際の注意点
別れ花をスタッフから受け取ったら、故人の周りを飾るように静かに花を入れていきます。
手にした別れ花に、故人への想いを託してお別れの時間を過ごしましょう。
別れ花を置く時は、故人の顔が隠れてしまうような場所には置かないように注意してください。
顔の周辺でなければ基本的にはどこに手向けても問題ありません。
最後の姿ができるだけキレイなものになるように入れていきましょう。
スポンサーリンク別れ花以外で入れるものは?
出棺の際には、「副葬品」といって、別れ花以外の品も納棺が可能です。
古くは古墳時代から、亡くなった人と共に道具などが埋葬されています。
死後の世界で困ることのないようにという考えの元、埋葬されていたようです。
また、死者を守るためのものとして埋葬されていたものもあり、故人の位が高いほど立派な道具が一緒に埋葬されていました。
とはいえ現代では、古い時代とは文化も変わっているため、棺に入れる品に対する考え方も違ってきているといえるでしょう。
故人の思い出の品や、大切にしていたものを棺に入れてあげたいと思う方も多くいます。
故人が生前から、入れてほしいと言い残している場合もあるでしょう。
できるだけ故人の想いを尊重したいところですが、葬儀屋によって、また火葬するところによっては入れられないものもあるので、必ず事前に確認しましょう。
一般的に、どのようなものは入れても大丈夫か、どのようなものは入れるべきでないかについて説明していきます。
副葬品にできるもの
- 手紙やメッセージカード
火葬の際に燃えやすく負担がかからない、故人への想いを直接伝えられるなどから、納棺するのにふさわしい副葬品として選ばれています。
- 千羽鶴や朱印帳
病室に飾っていた千羽鶴や、信仰の証でもある朱印帳も死後の幸せを願って納棺される品です。
ただしあまりにも大量の千羽鶴は、紙といえど火葬場に負担がかかり故障の原因ともなるため禁止されている場合があります。
- 故人が好んだ食べ物
大きすぎるものは燃焼の妨げになるので、小さくカットすると良いでしょう。
- 洋服や着物
いくらでも入れられるわけではないので、故人が愛用していた1着を選んで納棺しましょう。
- 故人が望んでいたもの・大切にしていたもの
入れられるものかどうかを葬儀場に確認してから納棺してください。
副葬品にできないもの
- 燃やすと有害物質が発生するもの
ビニール製のものやポリエステル製品、プラスチック製品、本革のものなどがこれに当たります。
CDやDVD、おもちゃ、化学繊維の洋服などは納棺できません。
参列者にも害があるかもしれないので気をつけましょう。
- 金属、ガラスなどの不燃材料でできたもの
指輪やメガネ、腕時計などは燃えずに残ってしまうだけではなく、遺骨を傷つける可能性もあります。
どうしてもという場合は必ず、葬儀社の方などに前もって確認してください。
骨壺に入るものであれば、そちらに入れるのも一つの方法です。
- カーボン製のもの
ゴルフクラブや釣り竿など、カーボン製のものは燃えにくく残りやすい特性があります。
愛用していたものを納棺したい気持ちは分かりますが、火葬設備そのものを故障させる可能性があるので納棺しないようにしましょう。
- 爆発の危険があるもの
タバコと一緒に故人愛用のライターも一緒に入れたいと思う方もいるかもしれません。
しかし、爆発の可能性があり大変危険です。
火葬中も、火葬終了後も危険な状態になるため、絶対に入れないように注意しましょう。
- 水分の多いもの
例えばスイカやメロンなど、水分を多く含む果物は納棺することができません。
燃えにくいため、火葬を長引かせる原因となります。
- 存命中の人が写っている写真
生きている人の写真を故人と一緒に火葬すると連れて行かれてしまう、という言い伝えから来ているものです。
気に入った写真をどうしても入れたい場合は、写っている方に確認を取りましょう。
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納棺の花まとめ
ここまで納棺の花についての情報や、別れ花などを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 出棺前に花を手向ける、故人との最後の別れの儀式を「花入れの儀」という
- 納棺する花は宗教によって適した花があり、また適さない花もある
- 別れ花を納棺する際は、故人の顔が隠れない場所に手向ける
- 副葬品として入れて良いものと、入れてはいけないものがある
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者
唐沢 淳(からさわ じゅん)
経歴
業界経歴10年以上。大手プロバイダーで終活事業に携わる。葬儀の現場でお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから大人数の葬儀までを経験。お葬式を終えた方々のお困りごとにも数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、ユーザー目線でのサービス構築を目指す。
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