法事法要
葬儀の際の香典は「ご霊前」それとも「ご仏前」?
更新日:2022.11.18 公開日:2021.06.29
身の回りでご不幸があって葬儀に参列する場合、故人や遺族に弔意を示すために香典を持参します。
その際に香典袋の表書きは「ご霊前」「ご仏前」「ご香典」のどれにしたらよいのか悩んでしまう方も多いのではないしょうか。
また、包み方がマナーに反していないかなど注意する点は数多くあります。
香典は気持ちがこもっていれば良いとする考え方もありますが、故人とのお別れに失礼のないようにするには、きちんとマナーを守ってお包みすることが大切です。
そこで今回は、葬儀の際に気になる「ご霊前」について、以下のことを説明します。
- 香典の意味
- ご霊前とご仏前の違い
- ご霊前を使ってはいけない宗派とは
- ご霊前に関するマナー
- ご霊前の相場
葬儀に参列できない場合のご霊前の渡し方やご霊前を頂いた際のお返しについても説明していますので、ぜひ最後までお読みください。
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ご香典の意味とは
香典は、亡くなった方の霊前にお供えする金品のことで、お通夜や葬儀・告別式の際に渡します。
また、故人を偲ぶための年忌法要といった法事の際にも香典は欠かせません。
故人や遺族に弔意を示す方法には、供花や弔電などいろいろありますが、香典も弔意を示すための方法として一般的になっています。
昔は葬儀に際しては、遺族は故人とのお別れができるよう、近隣の住民が手伝うという風習がありました。
現在は、労働力を提供するという風習は薄れ、喪主の経済的負担を少しでも補うため香典を包むということに変化しています。
ご霊前とご仏前の違いとは
香典袋には、「ご(御)霊前」「ご(御)仏前」「ご(御)香典」とさまざまな種類があります。
宗教や宗派の違いによって、どれを使うかは異なるため葬儀や法事などで迷われる方も多いでしょう。
ここでは、「ご霊前」「ご仏前」の意味の違いを分かりやすく説明します。
ご霊前とは
ご霊前とは、故人の霊の前に、捧げ供えるという意味です。
仏教では、死後すぐに仏になるのではなく、四十九日までは霊であるとされています。
亡くなってから49日間を中陰と呼び、その間死者は仏となるための準備期間とされています。
そして、49日を過ぎると満中陰を迎え、仏になるのです。
このことから、通夜や葬儀、告別式に香典をお包みする場合は「ご霊前」を使うのです。
通夜や葬儀・告別式で、香典ではなく線香などの供物や供花をお供えする場合もご霊前を使います。
ご霊前は、多くの宗教の場合に使えますが、宗教が分からない場合は、「ご香典」を利用するのが無難です。
ご仏前とは
ご仏前は、亡くなった方が仏様となった場合に、仏の前に供えるものということになります。
仏教では七回目の追善法要である四十九日の法要を過ぎると、亡くなった方は成仏されて仏になるとされています。
したがって、一般的には四十九日の法要を過ぎた場合は、「ご霊前」は使わず「ご仏前」を使うのです。
四十九日の法要が過ぎて忌明けとなってからは、故人を弔うために、一周忌・三回忌・七回忌などの年忌法要といった法事が行なわれます。
これらの法事で香典をお包みする場合は、「ご仏前」を使います。
なお、霊と仏の境目となる四十九日の法要にも、香典やお供え物には「ご仏前」を使います。
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「ご霊前」を使ってはいけない宗派とは
通夜や葬儀、告別式では表書きとしてご霊前を使うのが一般的ですが、宗教や仏教の宗派によって違いがありますので、しっかり確認することが必要です。
以下では、各宗教の留意点を説明します。
浄土真宗の場合
浄土真宗の場合は、「既得往生の教え」というものがあり、「人は亡くなったらすぐに浄土に還り成仏する」とされています。
つまり、亡くなっても霊の状態にはならず、すぐに仏になるというのです。
このことから、浄土真宗の場合は、通夜や葬儀、告別式でもご仏前を使います。
神式葬儀の場合
神道では、亡くなった方は御霊となり、その家の守り神となり子孫を守る存在となるとされています。
そのため、葬儀では御玉串料や御神前が使われます。
「ご霊前」を使用することは問題ないとされていますが、仏は仏教の考え方なので「ご仏前」は使わないようにします。
また、香典袋の中には、蓮(ハス)の花が印刷されたものもありますが、仏教専用のため使うのはNGです。
百合の花が印刷されたものもキリスト教専用のため使ってはいけません。
キリスト教式葬儀の場合
キリスト教では、亡くなった方は霊魂となって神に召されるとされています。
そして、祈りの対象は神のみで人物に祈りを捧げることはありません。
ただし、日本では、葬儀においては、お焼香の代わりに献花するという習慣があります。
そのため、香典をお包みする場合は、お花料が使われます。
「お花料」であれば、キリスト教のいずれの宗派であっても使うことができます。
また、神道の場合と同様、蓮の花の香典袋は使いません。
ご霊前をお渡しする際のマナー
香典袋を購入する際は、宗教や地域の風習などを考慮して、水引や柄を選びます。
仏教に関しては水引は白黒か双銀もの、柄は無地または蓮の花が書かれているものが一般的です。
ご霊前用の香典袋はコンビニなどでも購入できますが、お包みする金額にふさわしいものを選ぶ必要があります。
包む金額があまり高くない場合は、水引が印刷されているものでもよいのですが、ある程度の金額となる場合は、水引がついているものが無難です。
ご霊前の書き方は、表には表書きと氏名を、中袋には金額や住所を記入します。
黒の薄墨の筆や筆ペンで、書くようにします。マナー違反となるボールペンは避けましょう。
香典に入れるお札は新札を避け、お札をそろえて裏向きに入れます。
お札の枚数は、4は死を、9は苦につながる意味を持つので避けましょう。
また、偶数は避けるとされてきましたので、それに習う方が無難です。
お渡しするときは、袱紗(ふくさ)の上に置き、お悔やみの言葉をかけて両手で渡すのが丁寧です。
その際に相手が文字を読める向きで渡しましょう。
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ご霊前の相場とは
ご霊前として包む金額は、故人との関係性やつき合いの程度、自分の年齢などによって異なります。
また、会社関係などでは、自分の立場によっても金額が異なります。
ご霊前として包む金額の相場を参考にして、自分にマッチした金額を包みましょう。
一般的には、故人との関係性やつきあいが深いほど、金額は高くなる傾向にあります。
また、年齢で言うと、若年層より壮年層(そうねんそう:働き盛りの時期)の方が金額が高くなる傾向にあります。
会社での地位が高い場合は、低い場合に比べて、やはり高くなる傾向にあります。
目安としての大まかな相場は、家族や親戚などの近親者の場合は、20代で1~3万円、30代以上は1~10万円程度です。
職場関係や友人・知人の場合は、20代で3~5千円、30代以上は5千~2万円程度といわれています。
自分の家族や親戚の葬儀の相場は、以下の通りです。
- 両親(自分、配偶者の場合共に同じ):5~10万円
- 祖父母(自分、配偶者の場合共に同じ):1~3万円
- 兄弟姉妹(自分、配偶者の場合共に同じ):3~5万円
- おじ・おば:1~2万円
- 遠い親戚:5千~1万円
- 知人・友人(その親も同じ):3千~1万円
- 近隣の場合:3~5千円
会社関係の場合の相場は、以下の通りです。
- 上司:5千~1万円
- 上司の家族:5千円
- 部下・部下の家族:5千円
- 同僚:5千円
- 同僚の家族:3~5千円
- 元上司:5千円
なお、近親者のみで執り行う家族葬の場合など、香典を辞退されることがあります。
この場合は、香典の持参を控えるのがマナーとされています。
ご霊前は郵送できるの?
葬儀に参列する場合は、通夜や葬儀、告別式に持参して、直接お渡しします。
しかし、遠方に住んでいる場合や、どうしてもスケジュールの調整がつかない場合は葬儀に参列できないこともあります。
葬儀に参列できない際は、参列する方に預けて葬儀のときにお渡ししてもらうのが、最も確実な方法です。
それもできない場合、香典を現金書留で郵送することができます。
郵送する場合は、喪主のお宅に郵送することになりますので、住所など間違えないように留意が必要です。
ご霊前のお包みのみを郵送するのでは、故人や遺族に対して弔意が伝わらない可能性があります。
そのため、ひとことでも構いませんので、お悔やみのメッセージを同封することを忘れないようにすることが大切です。
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ご霊前のお返しについて
ご霊前をいただいた場合は、お礼と故人を無事に送り出せたことの報告を兼ねて、香典返しの品をお礼状を添えて送ります。
忌明けである四十九日の法要の後に、あまり間を空けずにすることが重要です。
香典返しは半返しが一般的であり、いただいたご霊前の金額の1/2程度の品を選ぶのが基本です。
なお、ご霊前の金額が多い場合は、1/3程度の品でも問題ありません。
品物としては、使えば無くなる消えものが良いとされています。
例えば、お茶やコーヒー、海苔、お菓子などの食品類、石鹸や洗剤、タオルなどが定番の品です。
なお、生肉や生魚のギフト、お酒などの嗜好品、慶事用の鰹節や昆布などはマナー違反となるため避けるようにしす。
お返しは一家族に一品でよいとされていますので、夫婦で別々にご霊前を包んでいただいた場合もそれぞれに送る必要はありません。
ご霊前は、香典のほか、供花や線香などの供物を供えられる場合もあります。
こうした場合も、忘れずにお返しをすることが必要です。
当日返しをしている場合は、いただいた「ご霊前」の金額とお返しの品の金額が極端にかけ離れていなければ、あらためて香典返しの品を送る必要はありません。
葬儀の際のご霊前に関するまとめ
いかがでしたでしょうか。
ここまで葬儀のご霊前の情報や、その相場やマナーなどを中心にお伝えしてきました。
今回の内容をまとめると以下のようになります。
- ご香典とは故人にお供えする金銭と品物のこと
- ご霊前とは故人の霊の前に供えることで、ご仏前は故人が仏になった後に供えること
- ご霊前は、浄土真宗、神道、キリスト教の場合使ってはいけない
- 香典袋の選び方や お札の入れ方などにも注意が必要
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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監修者
袴田 勝則(はかまだ かつのり)
厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター
経歴
業界経歴25年以上。当初、大学新卒での業界就職が珍しい中、葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから皇族関係、歴代首相などの要人、数千人規模の社葬までを経験。さらに、大手霊園墓地の管理事務所にも従事し、お墓に納骨を行うご遺族を現場でサポートするなど、ご遺族に寄り添う心とお墓に関する知識をあわせ持つ。
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