法事法要
神式の初盆行事とは?神道のお盆にすることや仏式との違いも解説
更新日:2022.06.26 公開日:2021.12.09
仏教の初盆では、通常のお盆よりも盛大に法要を行うのが一般的です。
では神式の場合も同様に、初盆行事を行うのでしょうか?
この記事では、神式の初盆について紹介します。
神式のお盆について知識を得ておけば、突然招かれたときにも困りません。
神式の初盆に招かれた際の香典相場もお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
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神式の初盆とは
神式の場合も、仏教と同じようなお盆行事があるのでしょうか?
また、仏式との違いについても説明していきます。
神道の初盆・お盆
初盆(新盆)とは、故人が亡くなって初めて迎えるお盆のことです。
仏教では、四十九日を過ぎてからの初めてのお盆ですが、神道では亡くなった日から1年以内のお盆と多少の違いがあります。
仏教で行う初盆と同様、神道においても初めて迎えるお盆は大切な節目として儀式を行います。
なお、神道では初盆のことを、「初盆祭」や「新御霊祭(あらみたままつり)」と呼びます。
神道におけるお盆の儀式は、先祖に感謝する「先祖崇拝」と、家族に不幸がなかったことを祝う行事として行います。
仏式のお盆が先祖を供養するための儀式といった意味合いが強いのに対し、神式は基本的にはお祭り(=お祝い事)です。
仏式の初盆との違い
神道は、もともと日本にあった宗教です。
それに対して仏教は中国から伝来し、神道の要素も取り込みつつ独自の変化を遂げました。
神式と仏式の初盆で大きく異なる点は、神式がお祝い行事も含んでいる点です。
実家へ手土産持参で訪問して長寿を祝い、同時に先祖供養もします。
仏教におけるお盆とは、盂蘭盆会(うらぼんえ)が由来の仏教行事です。
親戚が集まって故人を偲び、先祖に感謝することが目的の行事となります。
盆棚を作って故人の好物を盆棚に飾り、あの世から帰ってくる故人を手厚く迎えることがメインです。
ご先祖様を思って供養するという点に関しては、仏式のお盆も神式の初盆祭も共通点があるといえるでしょう。
神式では仏教でいう仏壇はなく、祖霊舎(それいしゃ)を祀ります。
祖霊舎には、霊璽(れいじ)という故人の御霊を祀るスペースがあります。
霊璽は、仏教の位牌と同様の意味を持つものです。
神式の初盆祭では、祖霊舎の前に精霊棚(しょうりょうだな)のようなお供え物を置く棚を作るのが一般的です。
神式でのお供えには米やお酒、お餅などがあり、榊をお供えする点も仏教との相違点となります。
また、仏式では生臭物を供えるのはタブーですが、神式では尾頭付きの魚を供えます。
スポンサーリンク神式の初盆祭の流れ
ここでは、神式の初盆祭の流れについて説明します。
仏教の初盆とおおよその流れは似ていますが、祭壇に祀るお供え物などは神式独自のものとなります。
①神棚や祖霊舎の掃除
神式の祭壇には、神棚と祖霊舎があります。
神棚には、天照大神様や氏神様のお札・神具などを祀ります。
祖霊舎は、守り神となった故人やご先祖様を祀る、仏壇のような役割を担うものです。
祖霊舎は、神棚よりも低い位置に設置することが基本となっています。
お盆時期が近付いたら、神棚と祖霊舎の掃除をしましょう。
掃除する際の注意点は、以下の4つです。
- 掃除前には水道水で口をすすぎ、手を洗って身を清める
- 神棚のものを床の上に置くときは、白い布の上に置く
- 使い古しの雑巾は使用せず、新しい雑巾を使う
- ホコリをとるなどの目的で神棚に息を吹きかけない
口は人間の汚れの象徴とされています。
ロウソクを消すときも、息を吹きかけるのはタブーとされていますが、掃除するときも同様です。
また、昔から女性は神棚の掃除ができないとされてきました。
医療の未発達だった時代は、出血すること=死に近いことと捉えられていたようです。
神道では、死を穢れとして忌み嫌います。
女性は生理があるがゆえに、そのような迷信が続いているのかもしれません。
医療が発達してきた現代では、鏡や塩を身に着けていれば誰でも掃除ができるようになってきています。
②祭壇の作成
神道のお盆では、祖霊舎のほかにも、精霊棚のような祭壇を作ります。
祭壇にお供えするものや飾り方には決まりがあるので、詳しくお伝えしていきましょう。
神式のお供え物
神式でのお供え物は、主に以下のものになります。
なお、上から順に重要度の高いお供え物となります。
- お米(洗米)
- お酒
- お餅
- 鮮魚
- 乾物
- 野菜・果物
- 塩
- 水
祭壇の飾り方
祭壇の中央には祖霊舎を置き、少し手前の左右に榊と燭台をそれぞれ飾ります。
祖霊舎の前には、お供え物をならべていきます。
棚の中央に1番序列の高いものを置き、神様から見て左側へ2番目に序列の高いものを置くのが基本です。
神式のお供え物は、三方(さんぼう)という脚のついた台へ置きますが、なければ普通のお皿でも構いません。
棚の中央にお米とお酒を置き、向かって右側(神様から見て左側に)お餅を置きます。
向かって左側には尾頭付きの魚を、頭が中央にくるよう配置しましょう。
お酒は瓶子(へいし・へいじ)と呼ばれる、白いくびれのある入れ物へ注いでおきます。
水と塩、お米は小皿へ盛りましょう。
乾物や野菜・果物は、手前に置く形となります。
③提灯の用意
仏式の初盆と同様に、神式の初盆祭でも盆提灯は白提灯を用意します。
神式の場合は、白木に無地の白提灯が一般的です。
家紋や墨絵の入ったものでもいいですが、蓮の花のイラストは仏教を連想させるためNGです。
使用するのは一度きりとされているため、初盆祭後はお焚き上げなどで処分しましょう。
④迎え火
13日の夕方頃から、オガラを燃やして火を焚くのが迎え火です。
迎え火と送り火は、もともと神式が発祥とされています。
迎え火について詳しく知りたい方は、「お盆の迎え火とは?迎え火の意味や準備まで解説」をご覧ください。
⑤お墓参り
お墓参りの手順は以下の通りです。
- 墓石に水をかけて清める
- 花立に榊をお供えする
- ロウソクに火をつける
- お供え物(米・塩・水)を置く
- 参拝する(二礼二拍手一礼)
二礼二拍手一礼は、神式の基本となりますので覚えておきましょう。
ただし、故人が亡くなってから50日経っていないときは、「しのび手」という音を立てない拍手をします。
⑥神主による祝詞の奏上
仏式では僧侶を迎えて読経してもらいますが、神式では神主を迎えて祝詞の奏上をしてもらいます。
その間、儀式に参加した全員で玉串奉還を行います。
玉串奉還とは、紙垂(しで)のついた榊を遺影の前にお供えする儀式のことです。
お供えした後は、二礼二拍手一礼をします。
⑦会食
初盆の最後には、神主も交えて会食を行うのが一般的です。
神式の場合、会食と似たものとして「直会(なおらい)」という言葉が使われることがあります。
直会とは、神饌(しんせん:お供え物のこと)を神主と参加者全員で食べる儀式をいいます。
会食とは少し異なりますが、神式の行事ではよく使われる言葉のひとつです。
⑧送り火
お盆最後の日に、迎え火と同様にオガラを燃やして火を焚きます。
ご先祖様を見送る儀式として送り火は行われます。
詳しくは、「お盆の送り火とは?送り火の意味や家でのやり方まで解説」をご覧ください。
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神式の初盆祭でのお布施
神式の初盆祭で神主をお迎えした場合は、仏教でいうお布施を渡します。
ここでは、神主へのお布施の表書きや相場について説明します。
表書き
神式では、神主へ渡す謝礼の表書きを「御祭祀料(おさいしりょう・みさいしりょう)」や「御初穂料(おんはつほりょう)」と書きます。
「お布施」は仏教用語となり、神式では表書きに「御布施」は使用しませんので注意しましょう。
また、神主への謝礼の表書きの場合は、薄墨で書くのではなく濃い墨で書きます。
袋の水引は関東では黒白、関西では黄白の結びきりを選ぶ方が多いようです。
蓮の花が描いた袋もありますが、神式ではタブーのため、選ばないように気をつけてください。
相場
御祭祀料の相場は、30万~50万円です。
地域によって異なるため、事前に神社へ相談されたほうが良いでしょう。
神主が儀式後の会食に参加されない場合は、御膳料を包むのがマナーです。
神式の初盆祭の香典
神式の初盆祭に参列する場合、香典はどれくらい持参すればいいのでしょうか。
ここでは、香典の表書きや相場について紹介していきます。
表書きについて
神式の香典の表書きで一般的なのが、「御玉串料(おんたまくしりょう)」です。
仏式でいう「御霊前」や「御仏前」と同様の意味です。
御玉串料以外ですと「御神前(ごしんぜん)」や「御供物料(おくもつりょう)」があります。
香典袋は無地で、黒白か黄白の水引のものを用意しましょう。
御祭祀料と同様、蓮が描かれている袋は選ばないように注意してください。
香典金額の相場
神式の初盆祭での香典相場は、5000~3万円です。
仏式と同様に、故人との関係性で金額は異なります。
- 両親・兄弟 1万~3万円
- 祖父母 5000~1万円
- 叔父・叔母 5000~2万円
家族での参列や会食がある場合は、3000~1万円を上乗せして包みましょう。
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初盆の神式まとめ
ここまで、神式の初盆祭についての情報を中心にお伝えしました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 神式には仏式でいうお盆にあたる初盆祭や新御霊祭がある
- 初盆祭では祖霊舎の前に祭壇を作成してお供え物をする
- 初盆祭のお布施の相場は1万~5万円、香典相場は5000~3万円
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者
山口 隆司(やまぐち たかし)
一般社団法人 日本石材産業協会認定 二級 お墓ディレクター
経歴
業界経歴20年以上。大手葬儀社で葬儀の現場担当者に接し、お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、位牌や仏壇をはじめ、霊園・納骨堂の提案や、お墓に納骨されるご遺族を現場でサポートするなど活躍の場が広い。
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