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多様化する葬儀形式の一つに直葬(火葬式)があります。この記事では、葬儀形式のなかでも最低限の内容で弔う直葬(火葬式)が選ばれる理由や流れ、費用などを中心にご紹介します。直葬(火葬式)を検討する際に役立つ、メリットやデメリット、注意点にも触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター
業界経歴25年以上。当初、大学新卒での業界就職が珍しい中、葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから皇族関係、歴代首相などの要人、数千人規模の社葬までを経験。
さらに、大手霊園墓地の管理事務所にも従事し、お墓に納骨を行うご遺族を現場でサポートするなど、ご遺族に寄り添う心とお墓に関する知識をあわせ持つ。
直葬は通夜や告別式などをおこなわず、火葬のみをおこなう葬儀形式です。病院や施設などのご逝去先から火葬場に直接安置をして荼毘に付します。火葬式とも呼ばれており、参列者は故人の家族や親族のみの場合が大半です。参列者が少数で火葬のみで弔うため短時間で葬儀が終了し、他の葬儀形式と比較すると葬儀費用が最も安価に済むという特徴があります。
直葬(火葬式)を選ぶ理由には、経済的な負担の軽減や、高齢化や核家族化など近年の社会情勢の影響が挙げられます。以下で項目ごとに説明します。
家族が亡くなると葬儀代だけでなく、お墓やお仏壇、法事・法要、遺品整理などさまざまな費用が必要になり、経済的な負担が大きくなります。そのため、直葬(火葬式)は費用を少しでも抑えたいとお考えの方の選択肢の一つになっています。葬儀形式には、家族葬や一般葬、一日葬など複数ありますが、費用を比較すると直葬(火葬式)は最も安価に送ることができるという特徴を持っているためです。
高齢化が進む近年では、平均寿命が短かった頃よりも葬儀の参列者が少ない傾向にあります。亡くなる年齢が高くなっており、葬儀の際には故人と生前に親しくしていた方が先に亡くなっている場合や存命でも外出が難しいことがあるためです。近年の葬儀では高齢化の影響によって参列者が少なくなる可能性を考慮して、身内だけの直葬(火葬式)で済ませる方もいます。
直葬(火葬式)を選択する理由には、核家族化の影響も考えられます。2世代、3世代と同居せず、核家族が増加している近年では、親族とのつながりも以前と比較すると薄くなっています。さらに、近所の方とのつながりも希薄になっており、亡くなった方が一人暮らしをしていた場合、弔ってくれる遺族がいない事例もあります。そのような場合は、お葬式をしないで弔う直葬(火葬式)が選択されています。
直葬(火葬式)の準備・段取りをご紹介します。
病院で亡くなった場合、故人の体を清めたり、ご遺体の体液などによる感染症を防止したりするためのエンゼルケアと呼ばれる死後処理がおこなわれます。その後、医師から死亡診断書(死体検案書)を発行してもらい、火葬場の安置所に搬送する手配が済むまでは病院の霊安室で待機します。
病院の霊安室で故人を安置できる時間は限られているため、葬儀社に連絡して故人を火葬場の安置所に搬送してもらいます。この時、故人を受け入れる火葬場では、納棺が条件となる場合がありますので、棺について確認する必要があります。生前に葬儀社を選んでいない場合、病院が紹介する葬儀社にご遺体の搬送を頼む方法もあります。葬儀社に連絡する際は、慌てずに病院名などを正確に伝えましょう。
葬儀社の寝台車が到着したら、ご遺体を安置所に搬送します。直葬(火葬式)の場合、火葬場の霊安室が多く利用されます。ただし、すべての火葬場に安置施設があるとは限らず、冷蔵設備の有無や面会の可否、棺への納棺が条件であるなど、受入れ方法が異なるため、事前の確認、段取りが大切になります。
葬儀費用の平均相場は208万円ほどと高額です。一方で、直葬(火葬式)の費用相場は約20万〜50万円ほどになっており、葬儀形式のなかでは比較的安く葬儀がおこなえます。
そのため、各葬儀社が提示している葬儀プランの直葬(火葬式)の費用の安さは魅力的ですが、あまりにも安い金額のプランには注意が必要です。安すぎる金額の場合、火葬に必要なものが一部しか含まれておらず、葬儀終了後に多額の追加料金を請求される可能性があるため、見積もり段階で内容をしっかり確認することをおすすめします。
葬儀の費用については、以下の記事でも紹介していますのでご参考ください。
直葬(火葬式)の当日の流れをご紹介します。
納棺は基本的に火葬前におこないますが、安置施設に冷蔵設備がない場合は先に納棺を済ませてから安置します。故人の体を清める湯灌や、死化粧を施して死装束を着せたのち、ご遺体を棺に納めて出棺します。この時、火葬場によっては霊安所のスペースが限られていて、故人のケアが充分にできない場合があります。棺には故人の思い出の品など副葬品を一緒に納める場合もありますが、火葬場の設備によって納められる副葬品が異なるため事前の確認が必要です。
火葬場の職員によって棺が火葬炉の前まで運ばれます。火葬の際には、火葬許可証が必要になるため忘れずにご持参ください。火葬許可証が無いと火葬は執行されません。火葬場によっては、炉前に僧侶を招いて5分ほどの読経ができます。短いお別れが済むと火葬がおこなわれ、収骨(骨上げ)の時間まで待合室やロビーで待機します。火葬時間は火葬炉の種類や故人の体格、副葬品などにも左右されますが、おおよそ1時間〜2時間ほどかかります。火葬炉の種類には台車式とロストル式があり、冷却装置の性能も影響して火葬時間の長短が決まってきます。近代的な火葬施設なら約1時間、旧式の火葬場では約3時間を要する場合もあります。待機時間の過ごし方については、葬儀社と打合せましょう。
火葬が終了すると、収骨室に移動して骨上げをします。骨上げは二人一組で箸を持ち、足の骨から拾い始めて喉仏の骨を最後に骨壺に納めるのが大半ですが、地域によって作法が異なる場合があります。不明点があれば火葬場の職員にご確認ください。また、東日本と西日本で収骨の仕方が異なり全骨を収骨する東日本地域に対して西日本地域では部分収骨となり、骨壺の大きさも違ってきます。納骨の際にお墓に入らないなどの不都合が生じる場合がありますので、事前に確認するようにしましょう。
直葬(火葬式)のメリットには、費用を抑えられる点や段取りや準備を最小限にできる点、そして葬儀後の対応を最小限にできる点があります。以下で項目ごとに説明します。
直葬(火葬式)の一番のメリットは、葬儀費用を抑えられる点にあります。直葬(火葬式)の費用相場は約20万〜50万円のため、家族葬や一日葬など他の葬儀形式と比較しても100万〜150万円以上安く済ませられる可能性があります。葬儀が終了したあとも、墓石の準備や、法事・法要などで高額な費用が必要になるため、100万円ほどの費用の削減が可能な直葬(火葬式)は、経済的負担を軽減したい方にメリットが大きい葬儀形式です。
直葬(火葬式)は通夜や告別式をしない分、段取りや準備の手間を省けます。例えば、通夜や告別式をする家族葬の場合、喪主が挨拶をする場面が複数回あるため挨拶文の準備が必要です。しかし、直葬(火葬式)であれば火葬のみで弔うため、挨拶文などの準備に費やす時間を故人と過ごす最後の時間に使えます。
直葬(火葬式)以外の葬儀形式では、葬儀後に香典返しや近所の方への挨拶などが必要になります。しかし、直葬(火葬式)を選択する場合には、元々お知らせをする先がないまたは少ないことが前提であり参列者は少人数の身内のみのため、基本的に香典を辞退しておこなわれます。葬儀後に香典返しが必然的に必要なく、対応を最小限に抑えられるため、精神的な負担の軽減につながります。
直葬(火葬式)のデメリットには、親族の理解を得られない場合や葬儀後の弔問者の対応、菩提寺に納骨を断られる可能性が挙げられます。以下で項目ごとに説明します。
直葬(火葬式)は、通夜、葬儀・告別式などの宗教的儀式を省いているため、従来の格式ある葬儀を望む親族からは理解を得られない可能性があります。故人をないがしろにしている印象や粗雑に扱われたと寂しく思われてしまうこともあるでしょう。親族との揉めごとを避けるには、直葬(火葬式)の中でも気持ちを込めて送るように努め、経済的に葬儀費用の捻出が困難であるなど、直葬(火葬式)を選択したい理由を関係者に説明しておくと理解を得やすくなります。
直葬(火葬式)は基本的に身内のみでおこなう少人数の葬儀のため、生前に故人と親しかった人から参列を希望されても、ご遠慮いただく場合があります。参列を断った場合、葬儀後に弔問を受け故人とのお別れの機会を設けますが、故人の生前の交友関係が広い時には注意が必要です。故人とのお別れを望む方が多く、葬儀後の弔問者の対応に追われる可能性があります。喪家は葬儀後にもやらなければいけないことが多いため、直葬(火葬式)を選択する際は故人の生前の交友関係を考慮して、この葬送スタイルが適切であるか、冷静に検討することをおすすめします。
お付き合いがある菩提寺がある場合、そのお寺の宗旨をもとに葬儀をおこない、火葬後は菩提寺のお墓に納骨するという流れが一般的です。しかし、直葬(火葬式)は宗教儀式を省き、菩提寺の規定の儀式で弔わないため、戒名が授与されていないなどの要因から、納骨を拒否される可能性があります。直葬(火葬式)を希望している場合は事前に菩提寺に相談してご住職にお伺いを立てることをおすすめします。
メリット | デメリット |
---|---|
葬儀費用を抑えられる | 親族に理解を得られない場合がある |
段取りや準備を最小限にできる | 葬儀後に弔問者の対応に追われる |
葬儀後の対応を最小限にできる | 菩提寺に納骨を拒まれる可能性がある |
直葬(火葬式)を選んだほうがよいケースは、費用を最小限に抑えたい場合や早めにご遺体を火葬したい場合です。それぞれの項目を説明します。
上述してきたように、直葬(火葬式)の利点は費用を抑えられる点です。したがって、今後の生活に備えて少しでも葬儀費用を抑えたい方や、経済的に困窮していて葬儀費用の捻出が難しい方は、直葬(火葬式)が適しています。特に生活保護を受給している場合は、葬祭扶助制度を利用して直葬(火葬式)が行えるため、自治体への相談をおすすめします。
亡くなる状況には、家族に看取られて亡くなる場合以外に、孤独死や事故死などの事例もあります。孤独死の場合、ご遺体の発見までに時間を要すると、ご遺体の腐敗が進んでしまいます。事故死の場合も孤独死と同様にご遺体の状態が良くない可能性があり、亡くなった状況によっては早めの火葬が必要になることがあります。直葬(火葬式)は、通夜や葬儀・告別式をせず火葬をすぐにおこなえるため、ご遺体の状況が良くない場合に適しています。また、火葬を済ませたあとに葬儀・告別式をする骨葬という方法もありますので、専門家に相談して後悔なく進めるようにしましょう。
経済的な事情があるわけではないが、儀式めいた事は省いた上で、故人を手厚く送りたいという方もいらっしゃいます。この場合には、火葬式のスタイルをベースとして「安置場所にこだわる」とよいでしょう。例えば、個室の安置室を借りて「ご逝去後のデリケートな時間から火葬場へ向かうまで」を、偲ぶ時間を大切にした上で故人とともに過ごす方法もあります。シンプルではありますが、気持ちを込めたい部分には随所で形にすることができますので、過不足なく合理的に送ることができます。
直葬(火葬式)をおこなう際の注意点をご紹介します。
直葬(火葬式)は通夜や葬儀をおこないませんが、法律で死亡後24時間以内の火葬は禁止されており、亡くなってすぐには火葬できません。そのため、火葬が可能になるまではご遺体を安置する場所の確保が必要です。病院で亡くなった場合、病室や病院の霊安室で長時間の安置はできないため、葬儀社の担当者に相談して別の安置場所に搬送する必要があります。安置場所の候補は自宅の他に、葬儀社や火葬場がありますが、その設備はさまざまです。保冷設備の有無や付き添いができるかなど、設備や雰囲気をしっかりと確認して選ぶことをおすすめします。
直葬(火葬式)は基本的に宗教儀式はおこなわないため、菩提寺や伝統的な葬儀を重んじる親族の理解を事前に得てから進める必要があります。相談をせずに直葬(火葬式)をすると、葬儀後にお墓への納骨を断られたり、親族と揉めたりする可能性があるためです。事前に直葬(火葬式)を選択した理由を説明して理解を得ておくと、葬儀後に問題が起こる可能性を減らせます。
菩提寺がない、またはお墓を保有していない場合には、遺骨を納める場所の確保も大切です。公営墓地や納骨堂であれば、宗教儀式をしない直葬(火葬式)であっても問題なく納骨できます。しかし、自治体が運営する公営墓地は抽選倍率が高く、空きがない可能性もあります。万が一、納骨場所の確保ができない場合は、自宅での保管や散骨などをご検討ください。ただし、自宅で遺骨を保管するのは問題ありませんが、庭など墓地以外に遺骨を埋める行為は法律違反になる恐れがあるため注意が必要です。
一般的な葬儀の場合は喪服を着用して参列しますが、近親者のみの直葬は平服にあたる略喪服を着用しての参列も可能です。略喪服は、黒やグレーなど地味な色のスーツやワンピースを指します。喪服よりも制限が少ない略喪服ですが、あくまで葬儀への参列であるため露出は避け、靴も無地に近い意匠や地味な色合いの飾りの少ないものを選びましょう。
故人が加入している健康保険組合や自治体によっては、葬祭費や埋葬料、埋葬費といった葬儀費用の一部を負担してもらえる制度があります。自治体ごとに給付条件が定められており、葬儀をしていることが条件の場合、火葬のみの直葬(火葬式)では葬儀をおこなったと認められず支給されない事例もあります。給付金が支給されるかは、葬儀後に申請する健康保険組合や自治体に事前に確認しておくと安心です。
直葬(火葬式)の場合は基本的に香典を辞退します。しかし、事前に香典辞退の意向が伝わっていない等で香典を持参する親族もいるでしょう。もし、香典を受け取った場合は、返礼品を忘れずに送りましょう。直葬(火葬式)の香典の返礼品は、一般的な葬儀と同様にいただいた金額の3/1か半額の品物を用意します。
一般的なお葬式では、通夜振る舞いや精進落としといった会食の席が設けられます。しかし、通夜や葬儀をしない直葬(火葬式)では、かしこまっての食事の場は設けないことが多くなっています。火葬が終了するまでの時間は1時間〜2時間ほどかかるため、待っている時を繋ぐ飲食については、火葬時間の長短を加味してどのように過ごすかを葬儀社と相談しましょう。時間帯などによっては、茶菓子を用意して繋いでもよいでしょう。ただし、ロビーでの飲食を禁止している火葬場もあるため、待合室を利用するなど、待機場所について事前の確認が必要です。
ここまで直葬(火葬式)の流れや費用、注意点を中心にお伝えしてきました。
費用を抑えやすい直葬(火葬式)ですが、通夜や葬儀を省いているため注意点を把握してからの検討が大切です。直葬(火葬式)に重要なポイントは以下になります。
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