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希望する形で葬儀をおこない、それなりの費用をかけて、金銭的な負担を感じている人もいるかもしれません。そのような場合、葬儀や埋葬の費用を補助するための給付金制度「葬祭費補助金制度」の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
この記事では、葬祭費や埋葬料などの補助金制度を詳しく説明していきます。この機会に補助金の種類や申請時のポイントを覚えておきましょう。葬祭費補助金制度以外にも利用できる葬儀費用を抑える方法もご紹介しているので、ぜひご覧ください。
厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター
業界経歴25年以上。当初、大学新卒での業界就職が珍しい中、葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから皇族関係、歴代首相などの要人、数千人規模の社葬までを経験。
さらに、大手霊園墓地の管理事務所にも従事し、お墓に納骨を行うご遺族を現場でサポートするなど、ご遺族に寄り添う心とお墓に関する知識をあわせ持つ。
葬儀が終了したあとに、市区町村の役場や加入している保険組合へ申請すると補助金が給付されます。
燦ホールディングス株式会社の調査によると、
内訳を見てみると、葬儀会場の利用料金や祭壇、人件費や霊柩車などの車両代の合計平均金額が68万2,000円で、会食などの飲食代や返礼品の平均金額は17万8,000円、さらに宗教者への御布施などの平均金額が27万7,000円です。
葬儀費用の相場や種類別の費用、御布施や香典返しの費用、故人の資産について、以下で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
葬儀の費用相場が想定よりも高いと感じた人もいるのではないでしょうか。
一定条件を満たして補助金を受け取ることができれば、自己負担額を抑えられる可能性があります。
ここからは、各補助金の給付要件や申請に必要な書類について詳しく解説していきます。
受け取れる可能性がある補助金の種類とその概要は下表のとおりです。
補助金の種類 | 概要 |
---|---|
国民健康保険や後期高齢者医療制度の加入者が逝去した際に、葬儀を担当した人に支給される | |
故人が協会けんぽなどの社会保険の加入者で故人に生計を維持されていた人が故人の埋葬をした場合に支給される | |
埋葬料の対象者がいない場合に故人を埋葬した人に支給される | |
生活保護の受給者である故人やその家族が葬儀の費用を工面できない場合に申請できる |
給付要件 | 故人が国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合 |
---|---|
申請期限 | 葬儀を終えてから2年以内 |
申請人 | 葬儀をおこなった人 |
申請に 必要なもの |
|
申請先 | 故人の住民票がある役所 |
給付金額 | 自治体によって3万~7万円と異なる |
葬祭費は故人が国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合に、
葬祭費はあくまでも「お葬式にかかった費用」に対する給付金のため、通夜と告別式を省く直葬・火葬式や火葬のみの場合は、葬祭費が支給されないケースがあります。そのため葬祭費の詳細は住所地の公共団体・自治体に確認することをおすすめします。
主要都道府県の葬祭費の支給額は以下のとおりです。
都道府県 | 支給額 | 費用相場 |
---|---|---|
北海道 | 3万円 | |
東京都 | 東京23区の支給額:7万円 23区以外の支給額:5万円 | |
神奈川県 | 5万円 | |
愛知県 | 5万円 | |
大阪府 | 5万円 | |
広島県 | 3万円 | |
福岡県 | 3万円 |
給付要件 | 故人が協会けんぽなどの社会保険の加入者 |
---|---|
申請期限 | 死亡の翌日から2年以内 |
申請人 | 故人に生計を維持されていて故人の埋葬をした人 |
申請に 必要なもの |
|
申請先 | 故人の勤務先が所属している健康保険組合または社会保険事務所 |
給付金額 | 一律5万円 |
埋葬料は故人が協会けんぽなどの社会保険の加入者だった場合に、
生計を維持されていた人とは、故人に生計の一部でも維持されていることを指すので親族や遺族でない場合でも申請できます。ただし、故人に生計を維持されていたことを証明できる住民票や、仕送りの確認ができる通帳、故人が公共料金などの支払者だったことがわかる領収書などが必要です。
参考:全国健康保険協会
給付要件 | 故人が協会けんぽなどの社会保険の加入者 |
---|---|
申請期限 | 埋葬した日の翌日から2年以内 |
申請人 | 故人に生計を維持されていた人がいない場合に埋葬をした人 |
申請に 必要なもの |
|
申請先 | 故人の勤務先が所属している健康保険組合または社会保険事務所 |
給付金額 | 5万円 |
埋葬料を受けられる人がいない場合、
埋葬料との違いは、申請期限が「埋葬した日の翌日から2年以内」という点です。
給付要件 | 故人や遺族が生活保護の受給者で葬儀の費用を工面できない場合 |
---|---|
申請期限 | 葬儀をおこなう前 |
申請人 | 葬儀をおこなった人または葬儀社 |
申請に 必要なもの |
|
申請先 | 申請人の住民票のある自治体または生活保護を受けていた自治体の福祉事務所 |
給付金額 | 葬儀にかかった費用が上限金額内で支給 故人が12歳以上:20万6,000円以内 故人が12歳未満:16万4,000円以内 ただし自治体によって上限金額が異なる |
葬祭扶助は生活保護を受給しており、金銭的な余裕がないなどの理由で
ここまでご紹介してきた補助金と違い、葬祭扶助は葬儀社に支払われます。葬儀をおこなう前に葬儀費用の請求書を公共団体・自治体に提出し認可されると、福祉事務所から葬儀社に直接支払われます。そのため、葬祭扶助で葬儀をおこなう場合は、福祉葬に対応した葬儀社を選ぶ必要があります。また、葬祭扶助を利用する葬儀は行政側が施主となるため、遺族側の主導権は基本的になくなります。
葬祭扶助の範囲は以下のとおりです。
ただし、葬祭扶助を受けておこなえる葬儀は、通夜や告別式がない直葬・火葬式です。
葬祭費補助金制度を申請する際のポイントや、葬祭費が受け取れない場合についてご紹介します。
葬祭費補助金制度の多くは、
しかし、申請には各申請書以外にも領収書や請求書、死亡診断書のコピーなどさまざまな書類が必要です。各公共団体・自治体によって必要書類も変わってくるので、揃えるのに時間がかかる場合もあります。そのため期限が迫ってから申請するのではなく、余裕をもって申請することをおすすめします。
葬祭費を受け取れないケースは以下のとおりです。
ポイント
前述したとおり、
また、自身が保険料を滞納してしまっていると給付額を全額受け取れない可能性があるので注意しましょう。
もし故人が協会けんぽなど会社の健康保険に1年以上加入してから退職し、3ヵ月以内に亡くなった場合は会社の健康保険から埋葬料が支給されます。葬祭費と埋葬料は一緒に受給できないので、この場合も葬祭費は支給されません。
葬祭費補助金制度にはここまで紹介してきたもの以外にも、例えば、京都府の八幡市や京田辺市の「火葬料の補助金制度」や、横浜市の「民営斎場使用料補助金」など地方自治体ごとに独自の制度を設けている場合があります。
八幡市や京田辺市には火葬場がなく、他の市区町村の火葬場を利用しているため、火葬場があり市民料金で利用できる住民と火葬費用に差が出てしまうのを防ぐために火葬料を補助しています。
一方で、横浜市の「民営斎場使用料補助金」は生前、横浜市民であった人を西寺尾火葬場で火葬した場合に火葬料の一部を補助するという制度です。ただし、故人の居住年齢ごとに支給される金額が違います。
このように各自治体の事情により葬祭費補助金制度はさまざまな種類があるので申請を検討される場合は各公共団体・自治体に確認することをおすすめします。
ここまで紹介してきたように葬祭費補助金制度には種類があり、各自治体によっても違うので悩んでしまうこともあるでしょう。そのような場合は「みんなが選んだお葬式」の終活カウンセラーにご相談ください。
ここからは、葬祭費補助金制度以外にも葬儀費用が足りない場合に利用できる葬儀ローンや市民葬・区民葬などの制度をご紹介します。
葬儀ローンは、
市民葬・区民葬は
しかし、自治体によっては市民葬・区民葬をおこなっていないので、検討される場合は事前に自治体に確認しましょう。また、葬儀社によっては市民葬・区民葬に相当する安価なプランを提案してくれますので、内容の説明を受けて比較検討することをおすすめします。
故人が亡くなると銀行に連絡し口座を凍結するため、預金を引き出せなくなり葬儀費用や生活費が必要な場合に困ります。そのような場合に、
葬儀費用に困った時に利用できる便利な制度ですが、相続財産に手を付けるため相続人同士でトラブルになる可能性もあります。そのため、利用を検討する際は専門家に相談することをおすすめします。
将来の自分の葬儀に備えて、葬儀保険に加入する方法もあります。
葬儀保険は
ただし、積み立てではなくかけ捨てのため解約時の返戻金がないことが多いです。
葬儀費用の準備だけでなく葬儀費用を抑えたい場合、葬儀社の会員制度も利用するのも方法の一つです。
葬儀社によっては会員制度を設けており、入会すると葬儀の基本料金などが割引される特典があります。入会金は葬儀社によって違いますが、なかには年会費や月会費がかからないところもあります。
受け取れるお金の種類 | 概要説明 | 相場 |
---|---|---|
弔慰金 | 所属している従業員または従業員の家族が死亡した場合に企業が渡す弔いのための金銭 | 死亡したのが従業員本人 (2万~3,500万円程度) 死亡したのが従業員の家族 (1万~50万円程度) |
死亡退職金 | 亡くなった従業員が受け取る予定だった退職金 | 1,000万~2,000万円 |
会社から弔慰金や死亡退職金を受け取ることで、葬儀費用を補うことができます。どちらも福利厚生費として支払われるため、お返しの必要はありませんが、受け取った場合はお礼を伝えるようにしましょう。
弔慰金は、
同じく従業員が亡くなった際に遺族に渡されるお金に死亡退職金があります。弔慰金が故人への弔いの意味の金銭に対し、死亡退職金は故人が退職時にもらう予定だった金銭です。また、弔慰金と死亡退職金は相続税の課税条件に関しても違いがあります。死亡退職金は「500万円×相続人の数」の非課税限度額を超えると相続税がかかります。一方、弔慰金は基本的には相続税の対象にはなりません。しかし非課税限度額を超えると退職金手当に相当するとされ相続税がかかります。
弔慰金の非課税限度額は以下のとおりです。
出典:国税庁「No.4120 弔慰金を受け取ったときの取扱い」
出典:国税庁「No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金」
弔慰金、死亡退職金については、以下の記事でも紹介していますのでご参考ください。
故人や遺族の希望に沿った理想的な葬儀をおこなうには、平均100万円以上の葬儀費用がかかります。なかには、金銭的な負担が大きく、葬儀後の生活に影響することを懸念している人もいるでしょう。
その場合は、葬祭費補助金制度や葬儀社の割引制度、葬儀ローンなどの利用を検討してみましょう。
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