法事法要
お盆にはどんな料理をお供えすべき？精進料理の内容や注意点まで解説
更新日：2022.08.10
記事のポイントを先取り！
- お盆には精進料理をお供えする
- 精進料理は霊供膳と呼ばれている
- 料理の置き方は宗派によって違う
お盆には、さまざまなお供え物や精進料理などで、ご先祖様の霊をおもてなしする習慣があります。
しかし、精進料理には、使用する器や食材に決まりごとがあるのをご存知でしょうか。
本記事では、お盆のお供え物や精進料理についてご紹介します。
お盆にお迎えするご先祖様の霊が、家族とのひとときを心地よく過ごせるよう、ご参考いただけますと幸いです。
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- お盆とは
- お盆のお供えは五供
- お盆では精進料理を食べる
- 精進料理の内容
- 精進料理のお供えの仕方
- お盆におすすめの精進料理
- 精進料理に使ってはいけない食材
- 精進料理以外にお供えするもの
- よくある質問
- お盆のお供え物の料理まとめ
お盆とは
お盆の意味
お盆の名前で知られる行事ですが、正式な名前を盂蘭盆会（うらぼんえ）と言います。
これは、サンスクリット語の「ウラバンナ」を由来とする言葉で「逆さ吊りの苦しみ」を意味しています。
お盆の時期には先祖があの世から現世に帰ってくる期間とされており、この期間にしっかりと供養することであの世の苦しみから救おうとする意味合いがあるのです。
通常の供養で故人を偲ぶことは大切ですが、お盆の時期の供養はより強い気持ちを込めるのが良いでしょう。
お盆の期間
お盆の時期は8月13日〜8月16日を指します。
これは旧暦でのお盆をさし、新暦ではおよそ1ヶ月の誤差が生じるため、関東の首都圏など、発展が著しい地域では新暦の7月13日〜7月16日をお盆とするのが一般的です。
2022年のお盆の時期は、通常であれば8月13日〜8月16日です。
勤め先によっては、祝日となる山の日（11日：木）との兼ね合いから、8月11日〜8月16日をお盆休みとするケースもあるでしょう。
こちらの記事ではお盆について解説しているので、ぜひご覧ください。
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お盆のお供えは五供
仏教において、お供え物の基本は「五供」とされています。
「五供」とは、香・花・灯燭・浄水・飲食（おんじき）の5種を指します。
「香」とは香りがする物で、主にお線香を表します。
お線香の香りは故人にとっての食べ物とされ、お供えをする方自身を清めるといわれています。
「花」は献花を表し、香りを故人に楽しんでもらうという意味があるとされています。
トゲや毒がある花、臭いの強い花は避けましょう。
「灯燭」はろうそくを表し、故人の足元を照らしたり、慈悲を表したりするお供え物とされています。
また、ろうそくの炎は燈明とされ、仏法が世の中を明るく照らすようにという願いが込められているようです。
「浄水」は、場を清めるためのお水ですので、できるだけきれいな水をお供えします。
「飲食」は、お菓子や果物などの食べ物や飲み物を表します。
一方、お供えには避けるべきとされるものもあります。
肉や魚は、仏教で禁じられている殺生をイメージさせるという理由から、お供え物として相応しくありません。
また、においや辛みが強いものは古くから仏教で食べることを禁じられていますので、避けるべきです。
こちらの記事でお盆のお供えについて解説しているので、ぜひご覧ください。
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お盆では精進料理を食べる
精進料理とは
お盆は、ご先祖様の霊をお迎えして、お盆期間のひとときを家族と一緒に過ごすという行事です。
そのため、ご先祖様の霊が、家族と一緒に食事をしているように振る舞うため、精進料理をお供えします。
お盆に仏壇にお供えする精進料理は、正式には霊供膳（りょうぐぜん）と言います。
霊供膳の内容は、一汁三菜のご飯・汁物・香の物・煮物・和え物などが一般的です。
精進料理の煮物や汁物は鰹節やイリコなどを使わず、昆布や干し椎茸などの食材を使って出汁をとります。
おかずは、「生」「煮る」「焼く」「揚げる」「蒸す」の５つのどれかの調理法を使います。
精進料理は、五色（赤・白・緑・黄・黒）や五味（甘い・辛い・酸っぱい・苦い・しょっぱい）を意識して作ります。
これは、食事も修行の一環と考える禅寺の「五味・五色・五法」という考えに基づいています。
お盆で精進料理が出る理由
仏教では五戒と称する戒律があり、殺生・盗み・不倫・嘘・酒を禁ずる戒律です。
お盆ではこの五戒の教えに沿うことと、生き物への感謝の意を込めて、殺生を必要とする食材を摂らない風習があります。
肉・魚を避け、野菜や果物といった殺生しない自然物を摂ることで供養に繋がるのです。
五戒とは別に五味・五色・五法に沿った料理を出す風習もあるので、精進料理を用意する際はこちらも気にかけておくと良いでしょう。
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精進料理の内容
霊供膳の内容や並べ方は宗派によって異なりますが、基本的に使用する器は5種類です。
「平椀」「親椀」「高坏」「汁椀」「壺椀」の5種で、それぞれに盛り付けるものも決まっています。
平椀
平椀には、カボチャ・里芋などの野菜や、がんもどき・高野豆腐などの煮物を盛り付けます。
魚のすり身を使用したはんぺんはNGですが、大豆を使用したがんもどきや豆腐は精進料理にぴったりです。
サラダで彩りを加えてもいいでしょう。
親椀
「親椀」には、白いご飯を山盛りにして、丸く形を整えるようにします。
仏様は料理の湯気を頂くので、できるだけ炊きたてのごはんを用意します。
高坏
「高坏」には、梅干しやきゅうりの塩もみ、なすや大根のぬか漬けなどの漬物を盛り付けます。
たくあんなどを用意する場合、三切れは「身切れ」につながりますので、二切れで準備します。
らっきょうやにんにくといった五辛にあたるものは避けてください。
壺椀
「壺椀」には、きゅうりとワカメの酢の物、ほうれん草の胡麻和え、煮豆などの副菜を盛り付けます。
他にも筑前煮、ひじき、きんぴらごぼうなども最適です。
汁椀
汁椀には、みそ汁やすまし汁などを入れますが、昆布だしを使用しましょう。
鰹節は材料に魚を使用しているため精進料理としてはふさわしくありません。
精進料理である霊供膳を毎日作るのは大変ですが、ちょっとした工夫で、手軽に用意することができます。
根菜類の煮物は冷凍保存が可能ですので、一度に何種類か作って小分けにしておけば、温めなおすだけで一品になります。
また、スーパーマーケットで購入したお惣菜を使用するのも全く問題ありません。
夏野菜のプチトマトや枝豆などは盛り付けるだけで鮮やかな彩りになります。
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精進料理のお供えの仕方
お盆期間中の精進料理の供え方について解説します。
お盆の精進料理のお供えは朝昼が基本
お盆は通常8月13日から15日の3日間ですが、この期間中の朝と昼に料理をお供えするのが基本です。
昔の修行僧は午後以降の食事をしなかったことから朝昼2食のお供えの風習ができました。
2食のお供えが厳しい場合は朝のみでも構いません。また、朝昼晩の3食お供えをする家庭もあるようです。
家庭の事情に応じて無理のない範囲でお供えをすることが大切です。
料理の並べ方
仏様にお供えする霊供膳には、料理の並べ方や向きなどの決まり事があります。
基本的に、左手前に親椀、右手前に汁椀を並べ、手前に持ち手を右にして箸を置きます。
親椀・壺椀・高坏の並べ方については、各宗派ごとに配置が異なりますので、後ほど紹介します。
料理の向き
仏壇に霊供膳を供える際は、召し上がるのは仏様ですので、お箸を仏壇側に向けてお供えします。
また、仏壇にお供えする際には、食べやすいように器のフタを取ってからお供えします。
お盆にお供えした精進料理はいつ下げる？
お供えした料理は冷めたら下げて構いません。
お盆の時期は傷まないうちに下げて、お下がりとして家族で頂きましょう。
宗派ごとの霊御膳の並べ方
霊供膳を仏壇にお供えする際の器の配置は宗派ごとに異なります。
基本的にどの宗派でも、箸を仏前に向け、左手前に親碗、右手前に汁椀を配置します。
一方、親椀・壺椀・高坏の配置は宗派ごとに異なります。
- 浄土真宗：左奥に壺椀・中央に高坏・右奥に平椀
- 臨済宗・曹洞宗：左奥に平椀・中央に壺椀・右奥に高坏
- 真言宗・日蓮宗・天台宗：左奥に平椀・中央に高坏・右奥に壺椀
日蓮宗では、朱色のお膳や椀を使用します。
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お盆におすすめの精進料理
次はお盆におすすめの精進料理についてご紹介します。
以下の料理はお盆に用意するのに最適なため、ぜひ参考にしてください。
がんもどきの煮物
精進料理ではお肉の代用品として他のものが使われますが、特にがんもどきはよく使われます。
がんもどきは鳥の「雁（がん）」に味が似ていることが由来だともいわれています。
野菜と一緒にがんもどきを煮ることで見た目や色合いも良く、精進料理ではよく出される料理です。
きんぴらごぼう
きんぴらごぼうもお盆の精進料理におすすめです。
根菜であるごぼうは栄養がたっぷり詰まっています。
ただし、きんぴらごぼうの通常のレシピでは唐辛子が使われることが多いですが、精進料理では唐辛子を使わずに作ります。
これは唐辛子が僧侶が食べることを禁じられた五辛に含まれているためです。
精進料理用に唐辛子抜きのレシピで作りましょう。
大根ときゅうりの胡麻和え
大根ときゅうりを細切りにして酢や醤油、胡麻と一緒に和えて揉み込む料理です。
大根ときゅうりを使った料理のため、さっぱりとしていてお盆の暑い時期でも食べやすいでしょう。
ずんだ餅
ずんだ餅は東北でよく作られる料理で、枝豆を砂糖と一緒に煮て餡にして、餅に載せて食べます。
夏の野菜である枝豆が使われているため、お盆に作られることが多いです。
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精進料理に使ってはいけない食材
精進料理に使ってはいけない食材はどのようなものがあるのでしょうか。
肉や魚・甲殻類を使わない
精進料理では、肉や魚、エビや蟹などの甲殻類を、材料に使うことはありません。
これらの食材は、もともとは生きている動物であり、人間と同様に痛覚があると考えられています。
生きている動物に痛みや苦しみを与えることは仏教の教えに反しますので、精進料理では使用しません。
仏教において五辛とされる食べ物
精進料理を作る際には、食材だけではなく味付けにも注意し「五辛」を避けます。
仏教における五辛とは、にら、にんにく、ねぎ、らっきょう、はじかみ（しょうが、さんしょう）を指します。
古くから仏教では、悟りを開くために煩悩を取り除くことが必要とされてきました。
においや辛みが強いものは煩悩を刺激してしまうという理由から、食べることを禁じられているのです。
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精進料理以外にお供えするもの
お盆には精進料理以外にもお供えするものがあります。
精進料理以外のものも確認しておきましょう。
お花
お盆にお供えする花は、3本・5本・7本などの奇数が良いと言われています。
3本の場合は白・黄色・紫、5本の場合は白・黄色・紫・赤・ピンクの5色を飾るのが一般的です。
お盆のお供えには、菊・桔梗・ケイトウ・ミソハギなどがよく使われます。
ホオズキは、ご先祖様の霊が家に帰ってくるときに提灯の代わりをすると考えられています。
また、新盆のお花は白一色で揃えるという風習もあります。
一方、トゲ、毒のある花や香りの強い花などは、お供えを避けた方が良いとされています。
こちらの記事でお盆の花について解説しているので、ぜひご覧ください。
精霊馬
精霊馬は、お盆にご先祖様の霊が戻ってくる際の乗り物で、なすときゅうりを使って作ります。
きゅうりは馬、ナスは牛をイメージして作るのが一般的ですが、地域によって使われる野菜は異なります。
この習慣には、ご先祖様の霊が馬に乗って早く来て、牛に乗ってゆっくり帰って欲しいという願いが込められているようです。
この記事でお盆になすときゅうりを供える理由について解説しているので、ぜひご覧ください。
線香・ろうそく
お線香は、その周辺を聖域とし、穢れや悪霊から仏の身を守り浄化するという役目をもっています。
また、仏教では人が亡くなり霊から仏になるまでの49日間、お線香の煙を食して仏になるとされています。
一方、ろうそくの火は、仏さまを照らす燈明（とうみょう）としての役割があります。
古来より、ろうそくのあかりは、邪気を払い災いを避け、空間を浄化し幸運を呼ぶと信じられています
果物
基本的にお供えしてはいけない果物はありませんが、傷みやすい果物はお供え物には向きません。
そのため、リンゴやメロンなど常温で長持ちする果物が良いとされています
果物をお供えする際は、仏具の「高坏」や背の低い「供物台」に盛るのが一般的です。
果物を盛るための仏具がない場合は、低くて広いお皿などに盛っても問題ありません。
こちらの記事でお盆にお供えする果物について解説しているので、ぜひご覧ください。
そうめん
地域によっては、お盆の行事食としてそうめんを供えることがあります。
お盆にそうめんをお供えする理由は、地域によって異なりますが、七夕に由来するという説もあります。
また、そうめんを食べると熱病にかからないという言い伝えもあります。
平安時代の宮中の七夕行事「乞功奠（きっこうでん）」では、熱病除けとしてそうめんがお供えされました。
他にも「喜びを細く長くという縁起をかつぐ」「仏様が帰るときに使う手綱」など諸説あります。
こちらの記事でお盆にそうめんを供える理由について解説しているので、ぜひご覧ください。
お団子
お盆に定番のお供え物としてお団子があります。
お盆の期間に応じて迎え団子・お供え団子・送り団子の3種類があります。
迎え団子は、ご先祖様をお迎えするためのお団子です。
地域によってタレやあんこをつけたり、何も付けなかったりします。
お供え団子は、ご先祖様がお盆中に自宅の精霊棚に滞在している期間にお供えするお団子のことです。
送り団子は、ご先祖様をあの世へお見送りする際にお供えする団子です。一般的には何も付けない白い団子をお供えするようです。
こちらの記事でお盆に供える団子について解説しているので、ぜひご覧ください。
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よくある質問
ここからはお盆の精進料理に関してよくある質問をご紹介し、その回答も併せて記載していきます。
お盆の料理について疑問がある方は以下の内容を参考にしてください。
Q：お盆に精進料理を用意するのはなぜ？
お盆には精進料理をお供えとして用意して、親族も精進料理を食べるのが昔からの風習でした。
これは仏教の「五戒」という考えが元になっています。
「五戒」の中では動物に対して感謝し、無駄な殺生を避けるようにと書かれています。
そのため僧侶は精進料理という肉や魚が使われていない穀物や野菜中心の料理を食べています。
この精進料理をお供えとして先祖の仏前に用意することによって、先祖への感謝を表すという意味があります。
現在では、先祖の分だけ精進料理を用意することも増えていますが、お盆は先祖と同様に親族も精進料理を食べる家庭もあります。
Q：お盆には必ず精進料理を食べるべき？
お盆では必ずしも精進料理を食べなくても問題ありません。
現代ではお盆でも通常通りの食事をするケースが多く、精進料理を食べないケースも増えています。
しかし、先祖の供養をしっかりと行いたいというのであれば、精進料理を親族の分も用意してみるのも良いでしょう。
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お盆のお供え物の料理まとめ
ここまで、お盆に相応しいお供えや精進料理の情報を中心にお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- お盆のお供えは「五供」を念頭に用意する
- 精進料理では野菜を中心とし、動物性の食材や「五辛」を避ける
- お盆などの仏事では、仏教の戒律に従い精進料理を頂く
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。
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