法事法要
新盆はどんな法要?新盆の時期や宗派ごとの違いも解説
更新日:2022.07.03
お盆は、故人の霊がこの世に帰ってくると考えられ、お墓参りやお供え物などで供養する行事です。
故人が亡くなって、49日以降初めて迎えるお盆のことを新盆と呼びます。
新盆は故人が亡くなって以降、初めて迎えるお盆なので、時期やお供え物などに関する疑問もあると思います。
そこでこの記事では、新盆について解説します。
この機会に、新盆の流れや費用について覚えておきましょう。
後半では、宗教・宗派の違いやお返しについて触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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新盆とは
新盆(にいぼん・しんぼん・あらぼん)とは、故人が亡くなって以降の四十九日の忌開けが過ぎてから、初めて迎えるお盆のことです。
故人の四十九日の前にお盆を迎えから、翌年に新盆を迎えます。
地域によっては初盆(はつぼん・ういぼん)とも呼びます。
西日本では初盆、東日本では新盆と呼ぶことが多いです。
新盆は初めて迎えるお盆ということもあり、通常のお盆よりも盛大に執り行われるのが特徴的です。
通常のお盆と新盆の違い
通常のお盆でも、お供え物や提灯を用意して、故人の霊を迎えて、供養の気持ちを示します。
新盆は、故人の四十九日以降初めて迎えるお盆なので、故人が生前好きだったものをお供えしたり、親戚や僧侶を招いて法要を行うなど、通常のお盆よりも規模が大きい法要になります。
新盆の時期
新盆の時期は、7月13日から7月16日までの新の盆、8月13日から8月16日までの旧盆のいずれかに合わせて行います。
7月の新の盆を行う地域は、東京の一部地域や、北海道や石川などが多いです。
その他の地域では、8月の旧盆の時期に新盆の法要を行います。
新盆行事でやること
新盆は、8月13日~16日(旧暦7月13日~16日)の間に行われます。
迎え火
初日(13日)は、故人をこの世に迎え入れる日です。
朝早くに起き、身支度を済ませたら、お供え物を並べたり、精霊棚の飾り付けをしましょう。
もし、朝はゆっくり過ごしたいという方がいれば、上記の準備は前日(12日)に前倒ししても問題ありません。
また、このときに、精霊棚の中央に安置する位牌を仏壇から取り出すことも忘れずに行いましょう。
午前中・日中は、お墓参りやお墓を掃除します。
故人を、気持ちよく迎え入れるためにも、初日のお墓掃除は欠かせません。
夕方には、迎え火をし、故人を迎え入れます。
松の割れ木や苧殻(おがら)を使用し、迎え火を焚いてください。
また、帰路の目印となるよう、盆提灯にも火を灯します。
お墓参りと法要
新盆の2日目か3日目にお墓参りと法要をします。
お盆期間中のお墓参りには、供養のほかに、「この世に帰ってきた故人をお墓から家まで連れて帰る」という目的もあります。
自宅で法要を行う場合は、僧侶をお招きし、棚経していただきます。
また、新盆では、法要後の会食が付きものです。
僧侶や参列していただいた方に、感謝の念を示すとともに、故人の思い出を語り合う場にしましょう。
この期間中は、火を絶やさず、お供え物は毎日交換してください。
送り火
16日は、お盆最終日です。
この日は、故人をお見送りする日でもあります。
夕方に、送り火を焚き、故人をお見送りしましょう。
また、新盆で使用する白提灯は、これ以降、使用することはありませんので、お焚き上げなどで処分します。
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新盆法要に必要な準備
僧侶の手配
新盆法要では、僧侶をお招きし、棚経(=精霊棚で読経してもらうこと)をしていただきます。
お盆は、お寺にとって最も忙しい時期であるため、なるべく早めに連絡・相談しましょう。
遅くともお盆の1か月前には、連絡しておきましょう。
場所の手配
新盆法要では、自宅やホテル、付き合いのある菩提寺で行うことが多いです。
法要場所は、アクセスの良し悪しや参列者の人数・予算などで決めると良いでしょう。
また、会食する場合は、自宅やお料理屋など会食場所の手配が必要になります。
お弁当を依頼したり、お料理屋で外食する際には、新盆である旨を伝えて料理を作っていただくようにしましょう。
参列者への連絡
新盆法要では、参列者への連絡も大切です。
参列者の人数によって、法要や会食の場所を決めることになるため、僧侶への連絡同様、早めに参列者の人数を把握しておきましょう。
遅くても1か月前には、身内や故人が親しくしていた方々に連絡をし、参列の有無を確認しましょう。
新盆法要のお供え
お供え物は五供が一般的
新盆のお供えものの五供は「香・灯燭・花・浄水・飲食」の5つからなります。
線香
線香は五供の中の香にあたります。
線香の火を消す際は、息を吹きかけずに、手であおいで消すようにしましょう。
ロウソク
ロウソクは五供の中の灯燭にあたります。
線香と同様にロウソクの火を消す際は、息を吹きかけずに手であおいで消すようにしましょう。
花
トゲのある花や、香りの強い花は控えましょう。
菊の花はお供物の花では定番です。
故人が好きだった花を供えるのもいいでしょう。
浄水
浄水は仏壇に供える水のことを指します。
使用する水は水道水で問題ありません。
供える水は毎日取り替えるようにしましょう。
飲食
五供の中の飲食はおんじきと読みます。
供える飲食は、家族が食べるものと同じもので、すぐに食べられる状態にします。
個包装になっているお菓子や果物なども供えられることが多いです。
精霊棚
精霊棚(しょうりょうだな)とは、故人を自宅にお迎えするために必要な祭壇のことです。
盆棚とも呼ばれます。
本尊や位牌、お供え物を安置するのが一般的です。
精霊馬
精霊馬(しょうりょううま)とは、故人が、あの世(浄土)から自宅へ帰ってくるための乗り物のことです。
精霊馬は、お盆におけるお供え物のひとつであり、きゅうり・なす・割りばしを使って、馬や牛の人形を作ります。
きゅうりには「自宅に早く帰って来られるように」、なすには「多くのお供え物を乗せて、あの世へ無事に戻れるように」という意味があります。
きゅうりは、自宅から来るときの乗り物、なすには、あの世へ戻るときの乗り物としての役割があります。
ちなみに、精霊棚には、普通のお供え物と異なる点があります。
それは、お盆期間中が終わっても、食べてはいけないという点です。
普通のお供え物は、お盆が終われば、食べることが可能ですが、精霊馬は塩で清め、紙袋などに入れ、燃えるゴミとして処分するのが適切な処分方法です。
燃えるゴミで出すのに抵抗ある方は、菩提寺などに処分を依頼しましょう。
盆提灯
盆提灯はお盆に帰ってくる故人の霊が迷わないための目印です。
故人の冥福を祈り、感謝を表すことも意味しています。
盆提灯は上から吊るす御所提灯と、下に置く大内行灯や霊前灯があり、七草や菊の絵が描かれています。
新盆に飾る提灯は初盆用の白い提灯を使います。
通常のお盆で使う提灯は数が多いほど、故人を慕うとされていますが、初盆用の提灯は1つで十分とされています。
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新盆法要のお布施の相場やマナー
新盆法要を行った際には、僧侶にお布施をお渡しします。
お渡しする際に気になるのが、いくら包むべきかという点です。
お布施の相場
新盆におけるお布施の相場は、4万円程度になります。
ほかの法要では、5000円~3万円程度が相場となりますが、新盆は故人や遺族にとって大切な行事であるため、お布施も高くなる傾向にあります。
御車代・御膳料の相場
お布施以外にも、御車代や御膳料が必要になることもあります。
御車代は、僧侶がお寺から会場に来るまでに必要な交通費のことで、5000円~1万円程度が相場です。
御膳料は、僧侶が会食に参加しない場合にお渡しするもので、2000円~5000円程度が相場となります。
新盆のお布施の書き方やマナー
新盆のお布施では、新札を白封筒や不祝儀袋(のし袋)に入れて、お渡しするのがマナーです。
無地の白封筒の場合、表面には、「御布施」と記し、その下に施主のフルネームを書きます。
裏面には、氏名・住所・金額(旧字体の漢数字)を記載してください。
また、お布施をお渡しする際は、直接渡さず、袱紗(ふくさ)に包み、お盆に載せてからお渡しするのがマナーです。
法要や会食が終わり、僧侶の方が落ち着いているタイミングで、感謝の気持ちとともにお渡ししましょう。
新盆法要に参列する際のマナー
新盆の香典
新盆の香典の相場
新盆の香典の相場は5000円から1万円が一般的ですが、故人との関係柄で相場は変わります。
両親の場合は1万円から2万円、兄弟の場合は1~3万円、祖父母の場合は1~3万円、叔父叔母の場合は5000円から2万円です。
知り合いや会社関係の人などの場合は3000円から1万円が相場です。
香典袋の書き方
香典袋の表書きは宗派によって異なります。
「御供物料」は宗派問わずに使用できます。
仏教の新盆の香典の表書きは、「御仏前」や「御沸前」と書きます。
水引は結び切りか淡路結びのものを使います。
新盆の服装
新盆に参列する際は、平服を着用するのがマナーです。
男性の場合は、黒やグレーなどの無地のスーツを着用します。
革靴や靴下は黒を選びましょう。
女性の場合は黒のスーツやワンピースを着用し、ストッキングやパンプスを黒を選びましょう。
派手なアクセサリーや露出の多い服装は避けましょう。
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宗教・宗派ごとの新盆の違い
新盆は、宗教・宗派ごとに準備内容や迎え方が異なります。
浄土真宗
浄土真宗では、「ご先祖様や故人の霊はずっとそばにいる」という考え方があります。
ですので、死後の世界は存在せず、あの世から故人を迎え入れることはしません。
お盆休みはあると思われますが、盆提灯を灯したり、精霊馬を作るなどお盆期間中、特別に何かするということはありません。
ただし、地域や家庭によっては、新盆であるからと、他宗教・宗派と同じように準備を進める方もいるようです。
日蓮宗
日蓮宗では、一般的な新盆行事を行います。
ですが、お線香や焼香が1回のみという点が特徴的であり、他宗教・宗派との違いです。
また、お供え物の並べ方においても、他宗教・宗派と少し異なります。
真言宗
真言宗では、お供え物と供養方法に違いがあります。
まず、お供え物についてですが、真言宗では、一般的なお供え物に加えて、水の子と閼伽水(あかすい・あかみず)を作ります。
水の子は、仏様へのお供え物であり、なすときゅうりをさいの目切りにして、お米と混ぜて供える食べ物です。
閼伽水は、スープ皿や深鉢に水を入れ、そこに季節の花やミソハギの束を供える食べ物になります。
また、真言宗の供養方法は、追善供養です。
追善供養とは、遺族や参列者が亡くなった故人に対して、冥福を祈る供養の仕方です。
キリスト教
キリスト教には、そもそも法要やお布施といったものがありません。
新盆期間中は、お参りをするだけという家庭が多いようです。
神道
神道(神式)には、先祖崇拝の考えがあるため、新盆やお盆の概念がありません。
しかし、その代わりに、神事として初盆祭や新御霊祭(あらみたままつり)があります。
また、精進料理が中心となる仏式では、肉や魚を供えることはできませんが、神道では、お酒や肉・魚などを中心にお供え物を並べるのが特徴的です。
他の人はこちらも質問
新盆・初盆についてのよくある質問をまとめましたので、紹介します。
初盆の準備はいつから?
初盆の準備は、初日(13日)から始める方が多いようです。
また、中には、初盆前日(12日)から始める方もいます。
初盆はいつまでに亡くなった人?
初盆は、故人が亡くなってから49日以降に迎えるお盆です。
たとえば、故人が7月30日に亡くなった場合、8月13日の新盆は49日以内なので、翌年が新盆となります。
新盆 いくらかかる?
まず、法要を行う場合は、お布施や御車代・御膳料で5万円程度かかります。
また、お供え物の材料費や盆提灯・引き出し物などでも費用もかかります。
具体的にいくらかかるかは、家庭によってまちまちだとですが8万円~10万円程度は必要になってくるでしょう。
四十九日とはどういう意味ですか?
四十九日とは、仏教用語のひとつであり、故人の死後49日目に行う法要のことを指します。
新盆のお返しはなにがいい?
新盆でいただいた物に対してのお返し(引き出し物)は何にすべきか悩まれる方も多いかと思います。
お返しとしておすすめなのは、誰でも使える日持ちする消耗品です。
具体的には、以下のような物がおすすめです。
- そうめん
- ゼリー
- 水ようかん
- 洗剤
- 調味料のセット
- カタログギフト
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新盆のまとめ
ここまで、新盆について解説してきました。
まとめると以下の通りです。
- 新盆は、49日の弔明け後、初めて迎えるお盆のこと
- 新盆では、精霊棚や盆提灯を準備する
- 新盆のお供えは五供が一般的
- 新盆のお布施相場は、4万円程度
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者
田中 大敬(たなか ひろたか)
厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター
経歴
業界経歴15年以上。葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから著名人や大規模な葬儀までを経験。お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、特に士業や介護施設関係の領域に明るい。
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